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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第十三話 覚悟
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砲弾だと思います。私に搭載された時、今のヤマトだからこそ開発できたと聞きました。」
「・・・・・・・。」
「赤城さん、そして加賀さんもきっとこう思っていますよね?『認めてもらいたいのなら正面から堂々とぶつかり合って力を示せ。』って。そのことからすれば私のしたことは間違っているのかもしれません。でも、私はありのままを赤城さんたちに受け入れてもらいたかったんです。だから・・・・・。」
「いいえ。」
赤城は穏やかに首を振り、そっと紀伊の手を取った。
「その言葉だけでもう充分です。あなたは今の新型兵器の恐ろしさを良く知っています。使うことに対してのためらいを持っていらっしゃったこともよくわかりました。言葉だけではありません。なぜならあなたはあえて最初から使わなかった。あなたの覚悟の表れだからです。」
ざあっと白波を蹴立てて加賀がやってきた。
「完敗だったわ。」
乾いた声で一言だけ言った。
「そしてあなたの意図も私なりに理解したつもりではいます。正直なところ真正面からぶつかりあってこその実力だとは思うけれど、あなたは追い詰められる最後まであれを使わなかった。あなたの覚悟はどうやら本物のようです。」
そういうことでいい?赤城さん、と加賀は赤城に尋ねた。赤城は黙って微笑んだだけだった。
「紀伊さん、この後お時間がありますか?もしよろしければ、3人で間宮でおいしいものを食べませんか?お腹すきません?」
「は、はい!!」
紀伊はうなずいた。
「でも・・・その前にドッグに行って艤装などの修復をしなくてはなりませんね。」
「大丈夫です。演習の傷なのですぐに済むと思いますから、先に行っていてください。後から追いつきます。」
「わかりました。待っていますね。」
では、と一礼して紀伊はドックに走り出した時、背後から声が聞こえた。
「紀伊さん。」
加賀の声だった。紀伊は振り向いた。
「一つ言い忘れていました。」
「な、なんでしょうか?」
不意にすばりと切り込まれたかのように紀伊は動揺していた。
「私はあなたに謝らなくてはなりません。」
意外すぎる言葉に紀伊は目を見開いた。加賀の口から謝るという言葉が出てくるとは思わなかった。謝るとはいったい何を謝るのだろう。
「実は先日の鳳翔さんとのあの試合を見て、そして今のあなたの戦いぶりを、心構えを見て日向さんと同様私も考えを改めていました。今までの無礼、どうか許して下さい。」
加賀が深々と頭を下げるのを見て、紀伊のみならず赤城も驚いていた。プライドの高いあの加賀が人に頭を下げるのを見たのは、数えるほどしかないし、自分から進んで頭を下げるのを見たのはこれが二度目だったからだ。


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