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呪いの指輪
3部分:第三章
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第三章

「こんなことは有り得ないんだよ」
「十数年で欧州のリーダーになって」
「そんなことは有り得ない」
「そうなのよ」
「確かに。歴史を見てみても」
 どうかとだ。ヒルダもパンを手に難しい顔で述べた。
「そんな人いないし」
「だからおかしいんだよ。小説でも滅多にない」
「そんな登りつめ方だから」
 こう思っているのはヒルダの両親だけではなかった。誰もがだ。
 ジンツァーの政治家としての辣腕、そしてカリスマ性は認めながらもだ。それでもだった。
 彼の有り得ないまでの立身は不思議に思った。それはヒルダも同じだった。
 その彼女がだ。ある日である。ふとだ。
 テレビに出ているジンツァーを見てだ。気付いたのだった。
「あれっ、大統領の手に」
「何かあったの?」
「指輪があるけれど」
 左手の薬指、結婚指輪の他にだ。
 中指にもそれがあった。ヒルダはその指輪にも気付いたのだ。
 それは赤が入った金色のだ。眩い指輪だった。ジンツァーはその指輪をしていたのだ。
 その指輪を見てだ。ヒルダは言うのだった。
「あの指輪はまさか」
「まさかって?」
「ほら、お母さん私が子供の頃に話してくれたじゃない」
 幼い日にライン河の岸辺で母が自分に話したことを今度は彼女が話したのだ。
「ラインの乙女の指輪」
「あの指輪のことね」
「そう。あの指輪じゃないかしら」
「まさか。そんな」
「そんなって?」
「あの指輪は言い伝えだったのよ」 
 母もテレビを観ている。今は二人でコーヒーを飲みながら家のリビングでテレビを観てくつろいでいたのだ。ヒルダはその中で母に言ったのである。
 母は娘のその言葉に応えてだ。そして言うのだった。
「落とし物は自分のものにしたらいけないでしょ。だから」
「それであのお話をしてくれたの」
「確かに言い伝えであるわ」
 これは事実だというのだ。
「けれど。実際にあるなんて」
「思わないの」
「ある筈ないわ。妖精なんていないから」
「だから言うのね」
「そう。ただの言い伝えの筈だがな」
 眉を顰めさせてだ。母は娘に話す。
「そんなことはね。けれど」
「あの指輪の力は」
「どんな力も手に入れられる」
 子供の頃にヒルダに話したことをだ。母はここでまた話した。
「そうなるけれど」
「けれどやがては」
「そう。指輪の呪いで破滅するのよ」
 このこともだ。母は娘に話したのだった。
「そう言われているけれど」
「じゃあ大統領は」
「大統領は確かに凄いカリスマを持ってるけれど」
 だがそれでもだとだ。母は娘にその顰められた眉で話す。
「政敵もいない訳じゃないし」
「それに反発を持っている人も」
「どんな立派な政策でも反発する人は絶対に出て来るわ」
 それもま
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