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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百十三話 シャンタウ星域の会戦 (その5)
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の軍人が映る。こちらの姿を確認したのだろう。彼は私に向かって敬礼してきた。



帝国暦 487年8月23日  7:00 帝国軍 ミッターマイヤー艦隊旗艦ベイオウルフ  ウォルフガング・ミッターマイヤー


「前方に敵艦隊発見」
「追付いたか」
オペレータの敵艦隊発見の声に思わず声が出た。

しぶとい、この敵は本当にしぶとい。何度か接触し攻撃を加えた、遁走する敵に追撃も加えた。損害は与えている。しかし崩れない。しぶとく艦隊を維持したまま撤退している。

しかも速度の遅くなった艦を棄てている形跡がある。艦隊の速度を維持するためだろう。とにかく逃げる事に徹底している。しぶとい限りだ。

接触すると最後尾の艦隊が応戦し、先行する他の艦隊が引き返してこちらの側面に回ろうとする。いやでもこちらは退かざるを得ない。ずっとこの繰り返しだ。しかし味方が来るまではこの遅滞行動を繰り返さなければならない。

「敵は三万隻以上います!」
「!」
オペレータの声に艦橋がざわめく。

三万隻、敵は集結しているようだ。どういうことだ、何故逃げない? いや、それよりもどうする、此処で仕掛けるか? それとも味方の集結を待つか?

おそらくロイエンタール、メルカッツ、クレメンツ、ミュラー、ビッテンフェルトが近くまで来ているのは確かだ。ここで多少損害を受けても相手を足止めするか? しかし相手が相手だ、卒爾な仕掛けは出来ない。むしろ一旦退くべきか? それにしても何故此処に敵が集結している?

「敵、後退します」
「後退?」
どういうことだ? 今になって何故逃げる。こちらは一個艦隊だ、叩き潰すチャンスだろう。此処で戦っても意味は無いと判断したか? 逃げる事を優先したか?

「敵の一部が留まります!」
「?」
敵の一部が留まる? どうなっている?

「スクリーンに拡大投影しろ」
「はっ」

「これは、輸送艦か、補給部隊……」
大きさは十万トン級だろうか、ざっと約百隻ほどの輸送艦がスクリーンに映っている。補給部隊が此処まで来ていたのか、それを守ろうとしていた、しかし鈍足の輸送艦を伴っては逃げ切れないと見て輸送艦を棄てるのか……。

いきなり輸送艦が爆発した。撤退する反乱軍の最後尾の艦隊が攻撃したらしい。こちらの手に渡したくないと言う事だろう。
「輸送船を破壊させるな、敵を攻撃しろ」

俺の命令とともに艦隊が前進し敵に攻撃を加える。敵は戦闘を避け後退していく。あるいは俺たちに輸送艦を拿捕させるのが目的かもしれない。それによって少しでも追撃の速度を遅く出来れば、そんな事を考えているのか。

「閣下、輸送艦を拿捕しますか?」
ビューロー准将が問いかけてくる。乗組員は居ないだろう。反乱軍は破壊しようとしていたのだ、移乗さ
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