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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第九話 南西諸島攻略作戦(後編)その3
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られているんですよ!!!」
ずるずると紀伊とビスマルクの腕から瑞鶴の体が離れた。がっくりと糸の切れた操り人形のように瑞鶴はうなだれたまま動かなくなった。
「・・・・・・・。」
「心配なのは瑞鶴さんだけじゃありません。伊勢さんも・・・いいえ、扶桑さんもみんなそうなんです。気持ちはとても分かります。でも、今は――。」
「く・・・。・・・・う・・・・・ううっ・・・・・。」
歯を食いしばった瑞鶴の口から嗚咽が漏れた。胸を激しく上下させていた瑞鶴が顔を上げた。涙の後が頬に光っている。
「ごめん・・・なさい・・・・。」
「いいのよ。私こそ・・・・ごめん・・・・・。」
伊勢が首を振りながら言った。
「伊勢さん、ビスマルクさん、皆さん、ここにいては危険です。南西諸島本島攻略部隊を残し、本艦隊は即刻佐世保鎮守府に引き上げるべきだと思います。」
扶桑が言った。
「紀伊、周辺にはなった偵察機からは何か報告はあった?」
「いいえ、今のところ特には――。」
はっと紀伊が息を吸い込む音が聞こえた。小さな音だったのに、それが全員に聞こえていた。
「何かあったんですか?」
榛名が聞いた。
「偵察機より・・・入電・・・。『東北東101地点にて、敵機動部隊出現ス・・・・・。』」
「まさか!?」
「そんな!?」
伊勢と扶桑が同時に見た方角はまさしく負傷した翔鶴以下の後送先である佐世保鎮守府のある方角だった。
「バカな・・・・あれほど伊勢さんたちが撃滅していたのに、まだいたというの・・・・?」
霧島が信じられないような顔をしている。
「兵力は不明ですが、少なくともヲ級2隻を中心とした艦隊です。急がないと!!今度こそ間に合いません!!」
紀伊が言った。
「すぐに急行しなくては、行くわよ!!」
ビスマルクが皆に言った。
「翔鶴姉!?」
瑞鶴の悲痛な叫びが海上に響いた。

「ちっくしょう・・・・この、私が、ここまでやられるなんて・・・・!!」
足柄が肩を押さえながら後退する横を妙高がさっと走り抜けた。
「妹の仇!!主砲、一斉射!!!」
妙高の叫びと共に前進してきた数隻の駆逐艦は吹き飛んだ。
「ちょっと!!妙高姉さん、私まだ死んでませんけれど!?」
足柄が抗議した。
「死んでようがなかろうが、私の大事な妹を傷つけたのですから、許せません!!」
「あ〜〜・・・・ありがたいような、怖いような・・・・。」
足柄が複雑な顔をしていると、また敵戦艦から放たれた主砲弾が妙高たちを襲った。幸い直撃はなかったが、おびただしい水煙が艦隊を襲った。山城たちが先行する三隈たちに追いついた直後、敵別働隊の強襲を受けたのだ。
「ぐうっ!!流石に強烈ですわ!!!」
翔鶴を支えながら三隈がうめいた。
「姉様さえいてくれれば・・・百人力なのに・・・・!!」

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