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渦巻く滄海 紅き空 【上】
百四 一騎当千
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中へ突っ込んでいく。崖を一気に下り、首切り包丁を振るう再不斬を他の面々は聊か呆れた眼で見遣った。

「なんなの?再不斬先輩、ストレスでも溜まってんの?」
「戦闘狂なんだろ。鬼人と言われてるぐらいだし」
ストレスの主な元凶である水月と多由也の会話に、比較的常識人のドスと次郎坊は溜息をついた。

ナルトがいない今、必然的にこの一癖も二癖もある少年少女達をまとめなければならなくなった再不斬の苦労は目に見える。現在戦闘にすぐさま身を置いているのも単なるストレス発散に近いだろう。


山岳地帯にある鬼の国。
山々に囲まれた其処で幽霊軍団と対峙する彼らは、再不斬・多由也・次郎坊・水月・香燐・ドス・キン。
おびただしい軍団に僅か七名で挑んだ忍び達は、多勢に無勢であるにもかかわらず、どこか楽しげに笑みを浮かべた。


「ナルトに足止め役を頼むと言われたけど…べつに倒しても構わないんだろ?」
「倒せるもんならな」
ギザギザに尖った歯を覗かせて嗤う水月に、香燐が面倒臭そうに肩を竦める。

周りの怪訝な視線を受けながら、彼女は無造作に軍団の武人一体へクナイを投げ打った。武人の堅い鎧に当たって、カキン、と弾かれたクナイはそのまま無残に踏まれて粉々になる。
そのまま峡谷に足を踏み入れていく軍団を追いながら、得心がいったとばかりにドスが頷いた。

「どうやらちょっとやそっとじゃ、傷つけられない代物らしいですね」
「あ〜…でも再不斬先輩、普通にバッサバッサ斬りまくってるけど」
顎でしゃくってみせた水月の視線を追って、早々に戦闘を始めた再不斬を見れば、首切り包丁で武人の胴体を横薙ぎにしている。
真っ二つに分かれた武人の身体は空洞で、中に人がいない事実が見て取れた。

「…要するに、破壊力のある攻撃なら壊せるってわけか?」
「そういうことだな」
キンの言葉に相槌を打つなり、次郎坊が地面を叩いた。
「――【土遁・土陵団子】!!」


その術を合図に散開する忍び達。
各々が印を結ぶ中、次郎坊の怪力で掘り返された土が幽霊軍団の一部を埋没させる。その傍らでドスが【響鳴穿】による音の衝撃で武人達を破壊してゆく。その一方で【水化の術】の応用を用いた水月が腕を肥大させ、怪力を奮っている。
男性陣が術や怪力で幽霊軍団の数を減らしていくのを呑気に眺めていた多由也が、胡乱な眼つきで己と同じ女性陣を見遣った。

「――で?てめぇらは何が出来んの。眼鏡女とヒステリー女」
「誰が眼鏡女だぁ!?舐めんのもいい加減にしろ!!」
「ヒステリーって私の事かよ!?そっくりそのまま返すわ!!」

香燐とキンが喚き散らすのをよそに、多由也は口寄せの術を結ぶ。
三体の怒鬼を笛で操り、幽霊軍団を蹴散らしながら、彼女は視線で香燐とキンを挑発する。
あまり
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