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憑依貴族の抗運記
第2話、愚痴パーティー
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はないし社会に迷惑な習慣と思っていたが、今はほんの少し懐かしい気もする。

 まあ、街宣活動とはちょっと違うか。

 そもそも門閥貴族はスピーカーを使って大衆を扇動する必要などないしな。ましてわざわざブラウンシュヴァイク邸に響くような騒音を撒き散らして、俺の怒りを買うような筋金入りの馬鹿もいない。

 結局、門閥貴族のラインハルトへの誹謗中傷はあくまでも内輪で盛り上がるためのもの。どちらかといえば取引先の下劣な嫌われ者への接待か・・・

 そう考えてから再び首を振る。貴族達は自分の不満をぶちまけていると同時に、俺のご機嫌を取るためにラインハルトの悪口を言っていることになる。

 ってそんな馬鹿な結論は納得いかんな。却下して忘れよう。

 いずれにせよそろそろストレスと披露で愛想笑いを浮かべるのも困難になってきている。

 会場を偵察したアンスバッハの報告では三長官攻撃の方の成果も上々のようだし、そろそろ帰っても良い頃合いだ。

 しかし、一つだけ障害が残っている。

 俺は少し離れたところで同じように取り巻きに囲まれている、リッテンハイム侯爵を見た。

 側近達との事前調整ではリッテンハイム侯の帰りを見届けてから俺も帰ることになっている。こういう時は後から来て先に帰った方の勝ちというルールにして欲しい。

 まさか、徹夜する気ではないよな。俺が主催者のミュンツァー伯爵ならそろそろ迷惑に思って追い出しにかかる頃だぞ。

 かなりの酒を飲んでいるはずなのだが、リッテンハイム候爵は一向に潰れる気配がない。

 こうなったら俺もとことん付き合うか。 地球時代に取引先の小うるさい爺様やおっさん達を接待した時に比べれば、酒とつまみが一級品で接待を受ける側になっている分、こちらの方が何倍も好待遇だ。

「リッテンハイム侯のお帰りです」

 どうやら俺の気合に気圧されたようだな。俺は勝ち誇ってリッテンハイム候の方を見た。ちょうど目線を交わすことになったので、俺は反射的に軽く手を上げて挨拶をしてしまった。

 向こうもそれに気づき満面の笑みを浮かべて、俺より若干低い高さまで手を上げた。

 何となく腹立たしくなり思わず手を下げたくなったが、ここでリッテンハイムを挑発して居残られでもしたら、自宅でゲームをする時間が少なくなる。

 俺は気づかないふりして、取り巻きとの不毛な会話に戻った。

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