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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百五話 掌
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、いやその裏でフェザーンと通じていた者がやはり居ったか」

「奴らが自由に動けるのも残り僅かです。間も無く命運が尽きましょう」
「軍務尚書の言う通りです。ルビンスキーも首根っこを押さえたようなもの、いずれ始末をつけます」
エーレンベルク、シュタインホフの両元帥がリヒテンラーデ侯の表情を可笑しそうに見ながら侯に言葉をかける。

リヒテンラーデ侯は二人を一瞥すると
「これから黒真珠の間で卿に勅命が下る」
と俺に話しかけた。

リヒテンラーデ侯の言葉に両元帥の視線が俺に集中する。その視線に押しかぶせるように侯が言葉を続けた。
「ぬかるでないぞ、ローエングラム伯」
「はっ」




広大な黒真珠の間の大勢の人間が集まっている。皇帝の玉座に近い位置には帝国の実力者と言われる人物がたたずんでいる。幅六メートルの絨緞をはさんで文官と武官が列を作っている。

俺もその一人だ。エーレンベルク元帥、シュタインホフ元帥、クラーゼン元帥、オフレッサー上級大将、ラムスドルフ上級大将の次に位置している。ヴァレンシュタイン司令長官が居れば、彼はクラーゼン元帥の次に来る。

オフレッサー、ラムスドルフの方が上級大将としては先任で年齢も上だが、宇宙艦隊司令長官の地位はヴァレンシュタインを最上位に押し上げる。オフレッサーもラムスドルフも内心はどうあれ、式典の場で不満を露わにした事は無い。

そしてこの場には宇宙艦隊の司令官達も顔を揃えている。殆どが平民、下級貴族の彼らが比較的上位を占める。貴族たちにとっては不本意な景観だろう。

「全人類の支配者にして全宇宙の統治者、天界を統べる秩序と法則の保護
者、神聖にして不可侵なる銀河帝国フリードリヒ四世陛下の御入来」
式部官の声に頭を深々と下げる。

ゆっくりと頭を上げると皇帝が豪奢な椅子に座っていた。そして俺の名が呼ばれる。
「宇宙艦隊副司令長官、ローエングラム伯ラインハルト殿」

周囲の視線を感じながらゆっくりと歩き、玉座の前に立ち、片膝をついた。
「ローエングラム伯、カストロプの反乱は鎮圧したそうじゃの。反乱軍討伐の前に幸先の良い事じゃ」

周囲からざわめきが起こる。
「恐れ入ります。これも陛下の御威光の賜物でございます」

「しばらく、しばらくお待ちいただきたい」
「陛下の御前である、無礼であろう、シュターデン大将」
「いささか、疑念がございます。リヒテンラーデ侯、なにとぞ」

シュターデン大将が転がるように前に出て口を出し始めた。相変わらずこの男か、余程俺や司令長官が目障りだと見える、愚かな……。

「疑念とは何事か、シュターデン、申してみよ」
「恐れながら、カストロプの反乱が鎮圧されたとは真で御座いましょうか?」
皇帝の許しを得てシュターデンが話し始
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