暁 〜小説投稿サイト〜
艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第七話 偵察任務。その3
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「くそっ!!撃ち落としても撃ち落としても、まだ来るか!!」
利根が舌打ちしながら応戦する横で、暁、雷が深雪と共に高角砲を連射している。
「いいぞ、3時方向の敵を、撃破!!次、くるぞ、9時方向!!」
「なのです!!」
「攻撃するからね!!」
3人は息の合ったチームワークでお互いをフォローしながら敵機を叩き落とし続けていた。
「長良さん、電さん、響さん、川内さん!!」
筑摩が叫んだ。強力な電探を搭載している彼女は中央に位置して、敵機の襲来方向と編成、それに機数を確認して、それを各艦娘に伝達し続けていた。
「6時方向からも敵機大編隊が来ます!艦爆です!射程に入りました!先制射撃、構え!!」
『はい!!』
5人は一斉に砲を構えた。米粒状の敵機が見る見るうちに大きくなり、今にも顔面に突っ込んできそうな勢いで迫ってくる。
「撃て!!」
5人の打ち出す弾幕により敵機は次々と撃破されていくが、砲火をかいくぐった敵機が次々と爆弾を投下していく。
「ああっ!!」
川内の悲鳴が海上を走り抜けた。
「川内さん、大丈夫・・・・ひゃあっ!!」
長良が傷を負って、よろめいたが、それでも屈せずに応戦を再開した。
「大丈夫なのです?!」
電が川内を支えた。
「ごめん・・・・く、ううっ・・!!」
「ひどい傷だ。・・・・ちっ!!!」
響が二人をかばうようにして前に出て、敵機を直前で撃破した。
「・・・・・・・。」
筑摩は周りを見た。自分も含めてどの艦娘も応戦で手いっぱいの上、傷を負っていない者はいない。このままでは、撃破されるのも時間の問題だった。
「みんな・・・本当に・・・・ごめん・・・・!!」
悲痛な声がした。電に支えられた川内が片目を苦しげにつぶりながら筑摩を見ている。
「川内さん・・・?」
「私なんかのために・・・・こんなことになって・・・・本当に・・・・ごめん・・・・・。」
「バカ者。何を言うか。」
利根がこっちを振り返った。
「傷ついた者を助けるのは、同じ艦娘として当然のことじゃ。それに・・・・。」
利根が不敵な笑みを浮かべた。
「それに、まだ負けだと決まったわけではないぞ。ん?」
「姉さん・・・・。」
筑摩は姉の快活さがとてもうらやましかった。平素はどちらかというとしっかり者の自分が姉をフォローしたり叱ったりしているのだが、こういう修羅場に来ると、その役割が逆になるようだ。自分が叱られたり励まされたりする。今まではどこかそれに対して反発する自分がいたのだが、今は・・・・それがしっくりと受け入れられる。
「ええ、そうね!!姉さんの言う通りだわ。まだまだこんなところで負けられるものですか!!」
『はい!!』
5人もうなずいた。
「よし、その意気じゃ。長良!!」
「はい!」
「ちと提案してもよいかの?」

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ