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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第七話 偵察任務。その3
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!」
その時、大きな叫び声が聞こえた。4人が振り向くと、長良が被弾した響を引きずるようにして後方に下がってきた。さらにその後ろから暁がぐったりとなった深雪を連れて全速力で下がってくる。その後ろでは一人残った川内が相手をしているが、何度もおびただしい水煙が彼女を襲っていた。
「くそ・・・・。」
利根は一瞬目を閉じたが、長良に指令した。
「作戦中止!!これ以上の交戦は危険じゃ!!ここは吾輩が抑える!おぬしたちはこのまま北走して敵を突破して逃げろ!!」
「何言ってるんですか!?そんなことができるわけないです!!それに・・・だったら私が残ります!!」
長良が叫んだ。
「お主は旗艦じゃ。最後まで艦隊を護らなくてはならん。皆を無事に送り届ける仕事があるじゃろう?」
利根がぎゅっと長良の両肩をつかんだ。
「でも・・・・。」
利根は首を振った。
「なに、吾輩なら大丈夫じゃ。心配するな。」
「ええ。私も残ります。」
「筑摩?」
「姉さん一人を残して、私だけのうのうと帰りたくはない。私も旗艦ではないのですから、いいでしょう?」
「無茶しおって・・・。」
ふっと利根が息を吐き出したが、笑みを浮かべていた。
「なら、行くか、筑摩。」
「はい!」
「でも――!」
「行きなさい、早く!!」
筑摩がそう叫び、利根と共に敵艦隊の正面に飛び出した。
「すまんな・・・・。」
利根が口にした言葉は筑摩の耳に届いたかどうか、それはわからない。二人は川内に追いついた。
「早く、退避しろっ!」
利根が叫んだ。
「いいえ、私も残ります!!」
「それでは佐世保鎮守府の皆に申し訳が立たん!!」
「こっちだって同じです!!私たちなんかのために・・・・もう充分ですからっ!!!」
泣くような叫び声が利根の胸を打った。
「川内・・・・。」
主砲は根元から片砲がねじ曲がり、魚雷発射管も艤装もボロボロだったが、川内はそれでも敵に背を向けなかった。
「戦いはこれからです。だから、私の分まで、最後まで戦い抜いてください。それが、私の最後のわがままです。」
川内はそう言うと、敵艦隊に残っている砲を向けた。
「さすがは佐世保鎮守府じゃ。その心意気、吾輩たちも見習わなくてはならんの。のう?筑摩。」
「はい。川内さん。私たちも――。」
3人は砲を構えた。
「行くぞ。撃て〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」
利根が叫んだ瞬間おびただしい水煙が敵艦隊を走り抜け、たちまち戦闘の戦艦1隻が撃破され、軽巡が木端微塵に吹き飛んだ。
「!?」
3人が振り仰ぐ頭上におびただしい艦載機隊が飛来してくるのが見えた。九六観戦、九七艦攻、九九艦爆、そして烈風に流星、彗星・・・・・。

 鳳翔と紀伊の攻撃隊がようやく戦場に到着したのだ。

不意を突かれた敵艦隊は慌てふためいたように
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