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アーチャー”が”憑依
十六話
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要はありません。全ては私の中途半端が招いたことです。彼にも、怒られてしまいましたから」

「長……」

「これまで、君には苦労をかけました。しかし、出来る事ならばこれからもこのかを守ってくれませんか?」

西の長という立場では無く、一人の父親として発せられた言葉を刹那が断ることができようか。いや、そもそも最初から断る理由などないのだ。

「お嬢様……いえ、このちゃんは私がお守りします」

剣を胸に、刹那は改めてそう誓った。



「このか、後で奥の部屋に来なさい」

そうこのかが言われたのは、食事が終わりを迎えようとした頃だった。これまで見た事のない様な真剣な表情をした父親に、このかは何か重大なものがあると感じ取り静かに頷いた。



「もう少ししたらこのかがここに来ます」

現在、このかは友人たちと風呂に入っている。そこから上がればここにやって来るはずだ。それと同時に、クラスメイトの面々に明日の朝までゆっくりと眠っていてもらう予定である。

「やはり、襲撃はあるのでしょうか……」

三人の中でも刹那は一際強く不安を感じている。純粋に経験が足りないと言うのもあるが、何より自分ではこのかを守れないのではないかと不安なのだ。相手には若かりし頃の詠春、俗に言う最強の領域立つ者がいるとなればなおさらだろう。

「確率は高いだろうな」

大丈夫だなどと言う気休めは言わない。下手に安心させて隙を招くよりは不安と緊張を与えておいた方がいい。そこで、ネギは詠春の顔が先ほどより沈んでいることに気がついた。

「どうかしたのか?」

「……実は、もう一つ不安要素が」

「話してくれ」

この段階に来てようやく口にしたと言う事はその不安要素とやらは本来隠されているべきものなのだろう。だが、黙っていて何かあっては遅い。

「実は、このかのクラスメイトの……」

「きゃあああぁぁぁ!!」

「「「!?」」」

詠春の言葉を遮るようにして響き渡った悲鳴。この声の主を、ネギはすぐに察することが出来た。

「神楽坂か!」

障子を蹴り破り戦いの歌を使って駆けだす。一歩遅れて詠春と刹那も部屋を飛び出してきた。

「刹那と長は近衛を!」

二人は無言で頷きネギと別れる。一人明日菜を探すネギは先の悲鳴を頼りに屋敷を駆ける。
そして、見つけた。廊下に倒れ、身を微かに震わせる明日菜の姿を。

「神楽坂、無事か!」

すぐさま駆けより抱き起こす。簡単に体を精査するが目立った外傷はない。辺りを見渡してみると、すぐ傍の部屋、障子が開け放たれたその場所に……

「…………こうしておけば邪魔は入らない。そういうことか」

恐らく魔法によって石にされたと思われる生徒たちの姿があった。

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