暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八十七話 第七次イゼルローン要塞攻防戦(その3)
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
向かってくれるか、私も後を追う」
「了解しました」

ロイエンタール提督、ミッターマイヤー提督の両名は敬礼をするとスクリーンから姿が消えた。メルカッツ提督は最大戦速を命じた。
「どういうことでしょう。最大戦速ではいずれ、司令長官に追い着いてしまいますが?」

「このノイズ、もしかすると反乱軍が来ているのかもしれん」
「まさか」
「要塞攻防戦となれば、敵の兵力は最低でも三個艦隊は有るだろう。司令長官が心配だ。滅多な事で敗れるとは思わんが不意を突かれればどうなるか分からん」

メルカッツ提督はそう言うと提督席で静かに考え始めた。


■ 帝国暦487年4月24日 11:30   帝国軍総旗艦 ブリュンヒルト  ジークフリード・キルヒアイス


とんでもない事になった。謀略により駐留艦隊がイゼルローンより引きずり出された。ラインハルト様はゼークト提督を叱責されたが、シュタインメッツ参謀長が今はイゼルローン要塞に急ぐべきだとラインハルト様を止めてくれた。

それにしても反乱軍はどうやってラインハルト様の艦隊が近づいていると知ったのか、私もラインハルト様も不思議に思っているとフェザーンが積極的に反乱軍に情報を流した可能性が有るとオーベルシュタイン大佐が指摘してくれた。

「これ以上の反乱軍の敗北はフェザーンにとって容認できないと言う事でしょう」

その指摘を聞いたときのラインハルト様は、改めて出征前にヴァレンシュタイン副司令長官の言った言葉の意味に気付いたようだ。 “フェザーンが情報を遮断している。” 遮断することが出来れば積極的に流す事も出来る……。

オーベルシュタイン大佐が幕僚に入った事はラインハルト様にとって大きいと思う。あまり人付き合いの良くない人物だが、冷徹で政略面での補佐をしてくれそうだ。後は優秀な分艦隊司令官が居てくれれば問題ないのだが……。

「イゼルローン要塞より入電」
オペレータの声に艦橋が緊張した。
「反乱軍はイゼルローン要塞に大軍をもって来襲せり。先程の遠征軍からの救援要請は謀略なり。至急来援を請う!」

ラインハルト様もシュタインメッツ参謀長も皆顔を見合わせる。微動だにしないのはオーベルシュタイン大佐だけだ。
「どう思うか、オーベルシュタイン」

「ゼークト提督がイゼルローン要塞を出てから九時間以上が経っています。反乱軍の来襲が遅すぎるように思いますが……」
オーベルシュタイン大佐の言う事は尤もだ。認めたくないことだが要塞が落ちている可能性は高い。

「では既に要塞は落ちていて、これは謀略と言うことか、オーベルシュタイン大佐」
「いえ、通信状況が悪いですからこれが最初の通信とは断言できません。……行って見なければ分からないと思います」

行って見なければ分からない
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ