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少年は魔人になるようです
第110話 少年達は突き進むようです
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かけると、楓さんが気を使ってくれて、無言のまま

隠れ蓑を被せてくれた。千雨さんとアーニャも無言で頷き、再度雲海ギリギリを飛行する。


「おいせんせー、さっきから魔素の海に入ってっけど大丈夫なのか?」

「ここはまだ表層なので、寧ろ魔力の回復になるくらいです。とは言え強制的に吸収・回復させられ

てしまいますから、皆さんには障壁を張っています。」

「何よそれ、自慢なの?まぁあんたの魔力量は桁違いだけどさぁ……。」

「いや別に自慢じゃないけど……それよりも、そろそろ入るよ。」


言い合う内に戦場の目の前まで到達する。戦う神獣が二体に減ったとは言え、残った厳武と嵐虎の

魔法は苛烈を極め、精霊砲が段撃ちに飛び交い、強化された魔族が雲霞の如く空を埋め尽くしている。


「飛び込んだが最後帰れそうにねぇな。っつーか一瞬で土に還りそうなんだけど、細かくなって。」

「ちょっと、不吉な事言わないでくれる!?そうよ、ネギ一人だけ飛んでけばいいじゃない!

カエデ、さっさとアーティファクト出して!」

「今更でござるなぁ。千雨殿も入るでござるよね。」

「何で私は確定なんだよ、入るけどさ。」


ブツブツ言いながらも、自分の手に余ると諦めた二人は隠れ蓑に入り、残ったのは高機動の楓さんと

僕だけ・・・これなら!


「楓さん、風魔法の出力を上げますが大丈夫ですか?」

「上げるのは構わないが、掴まるでござるよ。術式武装しなければ拙者に着いて来れぬよ?

今は力を温存するべきでござろう。」

「そ、そうですね。ではお願いします!」


諭された所で魔力を練り上げ、風の渦で足場を作る。それと同時に楓さんが僕を抱えしゃがむと、

風が軋む程の力を"気"を足に籠めて、超長距離瞬動の体勢に入る。宮殿までの距離はおよそ30q。

障害物がないから見えてはいるけれど、かなりの距離だ。


「道中は僕が護ります!!楓さんは、ただ真っ直ぐ向かってください!」
ギュギュギュギュギュギュギュギュギュ―――――ッ!
「ふふ、それは心強いでござるな。では―――」
ビシィッ!!

風に罅が入った瞬間、普段閉じられている片目が見開かれ、"気"の集束が終わる。


「参る!!!」
キュ――――ドウゥッ!!

蹴り出された風の渦は限界を迎え、溜められた"気"と合わさって僕達を一気に押し上げる。

雷化の現象としてとは違う、物理的な速度で体が軋むのを感じながら、音速を遥かに超える速さで

戦場の真っただ中を突き進む。僕らの接近に気付いた兵士達がこちらを見た時には、既に数十mも

先に飛び去った後だ。


「ネギ坊主、そろそろ速度が落ちるでござる!」


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