暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百九十三話  新王朝
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
な表情をした帝国人が居た。
「ユリウス・エルスハイマーです。この度、自由惑星同盟駐在大使を命じられました。こちらが帝国政府の信任状です」
信任状を受け取ると中を確認した。確かにユリウス・エルスハイマーを銀河帝国大使として自由惑星同盟に派遣すると記してあった。宛名には自由惑星同盟最高評議会議長ジョアン・レベロ殿と記されてあった。そして署名は銀河帝国皇帝フリードリヒ四世。国務尚書、リヒテンラーデ侯の名も記されている。

「確かに確認しました。ようこそ、エルスハイマー大使。自由惑星同盟最高評議会議長、ジョアン・レベロです」
握手をすると激しい程のフラッシュが執務室で焚かれた。マスコミにとっても世紀の一瞬だ。明日の一面はこの写真だろう。宇宙統一歴元年を代表する写真になるかもしれない。

銀河帝国の皇帝が自由惑星同盟の最高評議会議長に信任状を書く。改めて互いに国家として認めあったのだと認識した。そして後三十年でそれが終るのだと寂しく思った。もっと早い時点で帝国との間に和平を結ぶ事が出来ていたら……。どの時点なら両国は手を結ぶ事が出来たのだろう。

マスコミを外に出しソファーに座って改めて向き合った。若い、と思った。トリューニヒトの話では開明派の一人でヴァレンシュタイン元帥の信頼が厚いらしい。そしてガンダルヴァ星域に居る帝国軍の指揮官、コルネリアス・ルッツ元帥の義弟でもある。大使への抜擢はその辺りの事も考慮しての事だろう。

「大使館を用意して頂いた事、有難うございます」
「いえ、大したことではありません。気に入って頂ければよいのですが」
同盟政府が用意した大使館だ。先ずは盗聴器の捜索が大使館員の最初の仕事の筈だ。もっともそんなものは仕掛けていないが。

「同盟政府からの帝国への大使派遣は何時頃になるのでしょう?」
「当初はオーディンにと思ったのですが帝国がフェザーンに遷都するという事で直接フェザーンに送る事になった事は御存じですな?」
「はい、そのように聞いております」
正確にはこちらから要請した。なかなか大使が決まらない。頭の痛い事だ。

「七月には遷都が完了すると聞いております。準備なども含めますとその一月前にはフェザーンへ着く必要が有るでしょう。遅くとも四月の終わりにはハイネセンを出発する事になりますな」
「なるほど」
エルスハイマーがウンウンと頷いた。

「私の方から何かお手伝い出来る事は?」
「いえ、今のところは有りません。というより帝国への大使の人選もこれから決めるような有様で……」
「なかなか難しいのでしょうか?」
表情が曇っている。心配してくれている様だ。

「決して楽な仕事では有りませんからな。同盟と帝国の間で板挟みになるのではないかと不安視するようです」
またエルスハイマーが頷いた。帝国と
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ