暁 〜小説投稿サイト〜
一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第二章―リンクス―
第18話 夕暮れの死闘
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に突きつけ、口を開く。
「……目的は、何だ……? 何で僕を狙う……?」
 少し掠れた声になってしまったが、そんなのを気にしている場合ではないし、余裕もない。
 相手はフードが少し下がっただけで何も答えようとはしなかった。……まあ、予想通りといえば予想通りだ。
 ――相手について考えられることがいくつかある。
 一つは、僕個人に恨みのあるプレイヤーだ。だが、正直に言うと僕は何かをしてしまった記憶がない。というよりも、基本的にソロ活動することが多いため、他のプレイヤーと関わったりすることがないのだ。したとしても人見知りのせいで言葉数はかなり少なくなるし、もちろん迷惑をかけるような行為はしない。僕が忘れている、もしくは無意識にやっていた可能性もなくはないが、限りなくゼロに近いだろう。
 もう一つは、犯罪行為をするプレイヤー――通称オレンジプレイヤーの可能性だ。暴力やカツアゲ、略奪や強奪などの犯罪にあたる行動をすることを目的とした彼らに襲われるという可能性は、少なからず存在する。特に僕は一応攻略組と呼ばれるプレイヤーだ。他のプレイヤーたちよりも知名度は――最近二つ名がついたこともあって――高いし、標的にされることはこれまでも何度かあった。
 だが、それらの全ては僕を複数人で取り囲むという方法だった。今回のように一対一の、変な言い方になるが、フェアな感じではない。確かにそういう例も聞いたことはあるが、数多く存在する彼らの実績――もっと言うなら、彼らの起こした事件の中でもかなり稀有なケースだ。
 しかし、それはオレンジプレイヤーでも最も危険な存在――殺人を目的とする、通称レッドプレイヤーだった場合だ。もし、今の状況が当てはまるのならば、これから僕たちは最悪殺し合わなければならない。
 そして最後の一つは相手が軍の人間、もしくは軍と繋がっているプレイヤーだ。第二十五層のボス攻略戦での一件以来、僕と軍はすっかり犬猿の仲になってしまっている。僕を憎んでいる、嫌っているプレイヤーは少なからず――いや、それなりに多く存在しているはずだ。そういうプレイヤーがオレンジプレイヤーに依頼したということは否定できない。実際、少し前に数回あったのだ。時間が空いて今、ということもあるのかもしれない。
 これら三つの中で一番可能性が高いのは、最後のだ。時系列的にも最新のもので、まだ一ヶ月以内に起こったことだ。やはり、収まるのはもうしばらく先か……。
 などと思っていると、チッと小さく音がした――何かが擦れたような……。
 その音の正体が舌打ちだと理解したとき、正体不明のフードマンは僕の目の前まで迫っていた。
 ――はやっ……??
 反射的に目を見開くのを感じながら、わかっていたことを心の中で呟く。僕がカタナを振るうのと相手が片手剣を振り下ろすのは、ほぼ同時だった。

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