暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
暗躍はディナーの後で
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思った時だった。

物腰も所作も完璧に教育されているボーイに連れられた人物がやってくる。

少々歳のいった白人。ガタイはそこそこいいが、いかんせん品のいいスーツの上からでも分かる腹回りが減点対象だった。

エリック=ソールバルグ。

ノルウェーにおいて、運輸、および通信を担当する大臣の一人で、れっきとした幕僚である。

VIP中のVIPの登場ににわかにざわつく店内を横切り、エリックはにこやかに笑いかけてきた。

「久しぶりだね、ソウマ」

政治家特有の、内面をまるで見せないフレンドリーな黒い笑みにチッ、と口内で聞こえないほど小さく舌打ちし、次いで動かしていたナイフを止める。ソースがついた銀色の先端を初老の男に突き付けた。

「十分と三十八秒の遅刻ですよ、大臣」

がらりと、口調が変わる。

小日向相馬は相手によって敬語くらいは使い分けられる大人なのだ。

「いやっはっは、悪い悪い。ただ私にも君が言ったように大臣としての公務が山盛りでね、そうそう抜け出せるものでもないんだよ」

連れられてきたボーイにそのまま注文しながら、恰幅のいい男はからからと笑う。

湿りっ気のない笑いに苦笑を返しながら、小日向相馬は言葉を切り出した。

「さて、大臣。今回お呼び立てした理由は分かっていますか?」

「……あぁ。あぁ、そうだったな」

目線が定まらない。

座ったばかりなのに座り直す。

口許を意味もなく隠す右手。

それら一挙一動をつぶさに観察し、その上で突き放すように――――否、突き飛ばすように小日向相馬は言葉を吐き出した。

「現在、俺とノルウェーが交わしている契約は終わりました。俺はもう撤退します」

「ソウマ、ソウマ。まぁ落ち着きなさい。確かに契約期間は終わったが、君がやりたがっていたマスドライバー計画はまだ始動したばかりじゃないか。現に打ち上げトラブルが続いている。君がいなければ、我が国の宇宙進出は十年は遅れてしまう」

落ち着けはテメェのほうだ、と舌打ちしそうになる心をまるで表情に出さず、青年はポーカーフェイスのまま即座に切り返す。

「トラブルはマスドライバーの問題ではなく、打ち上げる衛星にあります。そして俺が協力したのは打ち上げるほうであり、打ち上げられるものではない。あとはそちらの技術の問題では?」

「なら君が衛星方面の技術に口添えしてくれれば――――」

「俺は人工衛星なんかに興味ありませんので」

しかし、と中年の男は食い下がるように言葉を募る。

「君は衛星軌道上に、中東の主導ですでに人工衛星を一機浮かべているじゃないか!?建前上は高軌道宇宙エレベーター実現に向けた試作機という名目だが、その実態は飛来した彗星や小惑星の軌道を歪ませ、地表に落
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