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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第十三話 雪鳴なりの決着
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さな歩幅で俺たちに付いていき、そんな二人のペースに合わせて俺は進んでいく。

 そうして山に登ったり、川や海に行ったりした。

 あの頃が一番、三人一緒にいて幸せだと感じた時間だった。

 それを壊してしまったのが俺だとしたら、取り戻すのも俺のするべきことなのだろう。

 責任を取るっていうのは、きっとそういうことだと信じてる。

 アマネの言葉じゃないけど、アマネに意見を求めたわけじゃなく、俺自身で考えて出した答えだけど、その答えに責任を持ちたい。

 また皆で笑い合うために、仲良くするために、今俺がするべきこと。

 それをするための場所に俺達はたどり着いた。

 海鳴大学病院に。

「病院?」

「ああ。 もう少ししたら、ちゃんと全部話すよ」

 雪鳴の問いに冷静な声音で返し、俺は再び歩き、雪鳴はそのあとを追う。

 まだこの世界に来て数日だけど、病室には行き慣れた感覚がある。

 それはきっと、今までに色んな治療のために色んな病院を回っていたからだろう。

 似たような設計だし、機材や医者の服装だってどこもかしも変わらない。

 それを五年も見て通っていれば、世界が変わろうと驚きや新鮮さはあまり感じられない。

 病院の中を移動する間も、俺たちの間で会話はなかった。

 騒ぐつもりもなかったし、あまり周りに聞かれたいことじゃない。

 俺に起こった五年間の出来事は、そういうことだから。

「ここだよ」

「……これ」

 目的の病室。

 ドアの隣に書かれた病室番号。

 その隣に入院している人のネームプレートが用意されており、そこに表示されていた名前で雪鳴は勘付いたように声を発する。

「『小伊坂(こいさか) 海嶺(あまね)』って、もしかして」

「ああ。 俺の姉さんだよ」

 俺は問いに答えながら、ドアノブに手をかける。

 姉さんがいる病室に入った俺は、姉さんの前で話し始める。

 俺と姉さんが今に至るまでのお話しを――――。


*****

 午後の授業が終わったと同時に教室を飛び出し、紺色の髪を靡かせながら廊下を駆け抜ける少女が一人。

 彼女の担任の教師は、そのあまりの速度に一瞬何が起こったのか理解が追いつかず、廊下を走ったことに注意することを忘れてしまった。

 それだけ彼女/逢沢(あいざわ) 柚那(ゆずな)は焦っていた。

 原因は本日最後の授業が終わる十分ほど前のこと。

 姉の雪鳴と帰ろうと思い、彼女のいる教室に向けて念話を放ったところ返事がなく、彼女の気配を探っていた。

 同じ血縁関係、そして誰よりも同じ時間を過ごした柚那と雪鳴。

 二人は二人限定で互いの現在地を特定することがで
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