暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜呪われた魔剣〜
神風と流星
Chapter2:龍の帰還
Data.30 コントローラー・チェンジ
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「グルゥオォォォォッ!」

「チィッ!」

 横合いから聞こえたブレスのチャージSEを頼りに後方に転がり、眼前を通り過ぎる黒炎には目も暮れずにブレスを放った《赤黒の道化龍(ドラゴン・ジョーカー)》に向かって剣を投擲する。

 結果は確認せず、すぐさま後ろから迫る《黒の槍剣龍(ドラゴン・スペード)》の尻尾を避け、こちらにも眼を狙って反撃。

 ドラゴン共との戦いが始まって既に体感で数時間――――実時間ではおそらく一時間くらいだろう――――が経過している。その間ずっと俺は敵に攻撃を当ててタゲを取り、逃げ続けていた。

 常に全方位からの攻撃を警戒し、咄嗟の判断で戦闘を続行するのは正直言ってしんどいとかいう次元ではないが、ギリギリ崩壊せずに何とかなっている。

 それに、敵の数も減っている。《黒の白詰龍(ドラゴン・クラブ)》と《赤の片喰龍(ドラゴン・ハート)》はもう倒した。今乗っている《赤の金剛龍(ドラゴン・ダイヤ)》も先程の道化龍(ジョーカー)のブレスでHPが一割を切った。

 もちろん、俺も無傷というわけではない。

 複数のタゲを取っている以上、同時に攻撃されると流石にダメージを喰らってしまう。それに、

「ったく、しつけえんだよクソが!」

 HPが減り暴走する金剛龍(ダイヤ)が複雑な軌道を描き高速で飛行する。俺は振り落とされないように必死にしがみつく。

 動きがランダムなお陰で他の龍から攻撃を喰らう可能性は低くなっているのが不幸中の幸いだが、それでも色々なものがごっそりと削られていく。

 そしてもちろん、それだけでは終わらない。

 金剛龍がようやく落ち着きを取り戻し飛行を緩やかにしたところで、間断なく他の龍の攻撃が襲い掛かってくる。

 高速かつ無軌道な動きでやられた三半規管を無理やりに酷使し、他方向からの攻撃をなんとか捌く。が、そこでついに限界が訪れた。

「くっ……」

 身体がふらつき、後ろに倒れる。更に運悪くダメージを受けた金剛龍が暴れ出し、俺は空中へと投げ出された。

 高度はざっと200メートルほどだろうか。もちろん、このまま落ちれば地面とぶつかって即死だ。

 しかし、ここでようやく作戦その2が生きてくる。

「クライイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインンンン!!!!!!!」

「わかってらぁ!」

 大声で叫び合図を出すと同時に、眼下でクラインたちが集まり一斉に操作を開始する。

 SAOには、システムメニュー階層の奥深くにとあるコマンドが存在する。

 自らのアイテムを奪われたり、もしくは失くしてしまったときの最終手段。

 ――――《コンプリートリィ・オール・アイテム・オブジェクタイズ》。全アイテムオブジェクト化コ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ