神風と流星
Chapter2:龍の帰還
Data.30 コントローラー・チェンジ
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
マンド。
自分が所持している全アイテムをオブジェクト化し、足元にぶちまけるという不便極まりないが絶大な効果のシステムコマンド。
そのコマンドが今、クラインたちのパーティによって一斉に行われた。
ドサドサッ。
やや重たげな音を伴い彼らの足元に、大量の干草が現れる。
これが作戦その2、脱出用の秘策だ。
そもそも俺とシズクやクラインたちは、今しがた俺が落下したポイントより遥かに高い位置から落ちてきた。それなのにも関わらず俺たちは死亡どころかダメージを受けることさえなかった。
それはつまり、この干草を大量に用意すれば、落下ダメージを0まで軽減できるということだ。
SAOのアイテムストレージは容積ではなく質量で計算される。重い武器やアイテムは出来るだけ外に出し、干草だけを限界まで詰め込めばそれなりの数を持ち出せる。
ボフッ。
衝撃を吸収された柔らかな落下音を文字通り全身で感じ、すぐに跳ね起きる。
「クライン!悪いが作戦通りすぐにしまってくれ。戻って待機だ」
「あいよ、了解!」
無事に地上まで降りてこられたが、一欠片も気を緩めず俺は指示を出す。
何故なら――――
「グルオオオオオオオオオオオオオッッッッッ!!!!!!!!!」
「あーもう!気づくのが早いんだよクソッタレ!」
迫り来るドラゴンに悪態を吐きながらも、手近に落ちていた拳大の石ころを牽制用に投擲する。
ドラゴンたちのターゲットはまだ俺にある。ならば、地上に降りた俺を奴らが追ってくるのは当たり前のことだ。
しかし勿論、対策は打ってある。
吐き出されるブレスを何とかクラインたちから離れたところまで誘導して躱し、上を見上げる。
「ヘイ!そこなドラゴンくんたち!おねーさんとイイコトして遊ぼうぜい!」
などと大声でほざきながら、崖を垂直に蹴って槍剣龍に向かって超高速でぶっ飛ぶ変態。その手に携えられた剣は幽かに光の残滓を残している。
どうやらソードスキルの勢いを使ってあの速度を出しているらしいのだが、まったくもって原理は分からない。つーか出来るわけねーだろそんなこと。
が、細かい理屈はどうあれシズクはすぐに龍との間合いを詰め、一閃。
片手剣汎用ソードスキル《ブラスト》により、槍剣龍の硬い鱗を数枚弾き中の肉を抉って突き刺す。
そのまま鱗の凹凸を使って背中へとよじ登り、大きく助走をつけてジャンプ。今度は金剛龍の上へと移動する。
こうして龍たちのターゲットは俺からシズクへと移り、同時に作戦の実行役もバトンタッチだ。
何はともあれ、龍狩りの前半戦は無
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ