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藤崎京之介怪異譚
last case.「永遠の想い」
U 4.25.PM6:57
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一から話している余裕など無かったのだが…。
 そうしている間にも、メスターラー氏は遺体を調べていた。無論、警察の迷惑にならない程度…ではあるが。
 数分もすると、複数の警官がここへとやって来た。俺は端によけて警官を見ていたが、その中に見知った顔を見付けた。
「プフォルツ警部!?」
 俺がそう言うや、彼は直ぐに俺を見付け、苦笑しながらこちらへと歩み寄ってきた。
「お久し振りです。」
「警部…何でここに?」
 俺は不思議に思って彼に聞いた。彼は基本、失踪者の追求などが主な仕事だと聞いている。殺人事件は管轄外だったはずなんだが…。
「あれから色々ありまして、私はこういった奇怪な事件を専門に扱う部所へ移動となったんです…。」
「奇怪な…って、もしかしてあの事件が切っ掛けで?」
「そうです。ですが…表向きは無い部所なんです。まさかオカルトに税金使ってるなんて市民に知れたら…それこそどうなるか…。」
 プフォルツ警部はそう言って深い溜め息を洩らした。
 俺がプフォルツ警部と話終えた時、他の警官は遺体の調査を始めていた。この警官達も、勿論ながら同じ部所の人間なんだろう。こういった遺体も見慣れている様子だ。
 まぁ、こんな閑な町でも火事はあるし、数は少ないとは言え焼死体を見たことはあるだろう。
 とは言え、それとこれとでは違う。前半分だけが炭化するまで焼かれ、後は燃えた形跡すらなくそのままなのだから…。
「警部、あれをどう見ますか?」
 俺とプフォルツ警部の所に、さっきまであちこち調査していたメスターラー氏が来て言った。それに対し、プフォルツ警部は頭を掻きながら言った。
「メスターラー君。これを通報してきたのは君だね?」
「そうですよ。町を歩いていたら悲鳴が聞こえたので、私は直ぐに藤崎兄弟と共にここへ駆けつけました。ですが…ついた時にはもうこの有り様でした。」
「藤崎…兄弟?」
 メスターラー氏の言葉に、プフォルツ警部は首を傾げた。どうやら、俺に兄弟がいることを知らないらしい。またどうでもいいことに反応するなぁ…。
 俺はそんなプフォルツ警部に、未だ壁際へ踞っている弟を指差して言った。
「あそこで踞っているのが、俺の弟の奏夜ですよ。」
 プフォルツ警部が俺が指差す方を見た時、奏夜は何とか顔を上げて会釈した。会話を聞いていたようだ。
「兄弟そろって美形とは…世の中不公平だ…。」
 プフォルツ警部はボソリとそう呟いたが、俺達は聞き流すことにしたのだった。
 そうは言っても、当のプフォルツ警部の容姿は、彼が思うほど悪くはないのだが、奥方がその容姿を窘めたらしい。なら結婚しなきゃ良かったと思うのだが、今はそんなことを考えている場合じゃないな…。
 俺達が話している間に、どうやら大方の調査は済んだらしく、検死官らしき人物が警部の所
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