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豹頭王異伝
暁闇
ヨナの采配
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天才は最悪の事態を懸念していたが愁眉を開いた。

「後続部隊も直接エルファへ向かわせる故、魔道師の手配をお願い出来るかな。
 レムス側の魔道師に起因する怪異の有無、奇襲の気配を探っ頂けると助かる」
 ゼノンは魔道に疎く怪異を伴う奇襲への対処は無理、選帝侯ディモスに至っては元々軍人に非ず。
 トールも多少は慣れているが尋常な勝負は兎も角、魔道に対応する術は持ち合わせておらぬ。

「かしこまりました、下級魔道師が同行しておりますので御自由に御使いください。
 伝令の騎士様を閉じた空間で御運び申し上げ、別動隊の方々から御返事を頂戴して参ります。
 パロ魔道師軍団は陛下の恩義に報い、お役に立つ事が最優先任務と心得ております」
 烏《ガーガー》を思わせる黒衣の影、ギールの後方に魔道師の姿が現れ豹頭王に平伏。
 グインは鷹揚に頷き、ケイロニアの騎士達を動揺させぬ様に気を配る。

「魔道師の助力は何よりも有難い、宜しく頼む。
 ヴァレリウス殿には誠に申し訳無いが、ナリス殿の御帰還まで辛抱を願うと伝えてくれ」
「御配慮、かたじけなく存じます」
 グインは黒竜将軍トール、金犬将軍ゼノン、ワルスタット選帝侯ディモス宛の命令を口述。
 飛燕騎士団の鎧を纏う伝令が聞き取り、作成した書面に豹頭王の花押を捺す。
 下魔道師級ディノスが閉じた空間の術を起動させ、伝令の騎士と共に姿を消した。

 上級魔道師ギールは参謀長の護衛ロルカ、ディランに遠隔心話で状況を報告。
 グイン直率の親衛隊は総勢1千、竜の歯部隊と称し機動力に優れ最高級の精鋭を揃える。
 トール将軍の黒竜騎士団1万は傭兵主体だが、十二神将騎士団の中でも最強を争う野戦軍。
 ゼノン将軍の金犬騎士団1万も高い戦闘力を備え、ケイロニア出身者が主体で忠誠心は折り紙付き。

 後発部隊1万4千は、ワルスタット選帝侯ディモスが指揮。
 4千は一芸に秀で特殊能力を発揮する専門部隊、通常の兵1万は後輩援護を担当。
 金猿騎士団2千は飛び抜けた身の軽さ、敏捷性を身上とする忍者部隊。
 白象騎士団2千は雄渾な巨漢、幻の民ラゴンの如き豪腕怪力を誇る特殊部隊。
 公称は要害防衛用だが実際は、重量級の破城槌も軽々と操る攻城用部隊であるらしい。

 グインは聖王宮の武力制圧を視野に入れ、行軍速度の大幅に異なる両者の派遣を強行。
 ケイロニア軍は現状に満足する事無く、着々と兵制改革を進めている。
 十二騎士団も新たな時代の戦術に対応、特色に合わせ独自の編成を模索中。
 聖騎士侯ルナン以下、神聖パロ側の指揮官達は強い感銘を受けた。

 身も蓋も無く現状を認識する参謀長、ヨナ・ハンゼ博士も同様であるが。
 パロ兵は戦闘力に劣るが魔道師軍団の特殊技術、閉じた空間を最大限に活用。
 ケイロ
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