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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十九話 襲撃(その3)
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と」
色々と? ふざけるな、お前は此処に来たくなかっただけだ。

「帝都防衛司令部に来られないほどですか? 今のオーディンで帝都防衛司令部ほど重要な職務を負っている部署はありませんが?」
「…」
「どうやら、私の指揮下では働きたくないようですね」
「そ、そんな事はない」
無理しなくてもいい。お前の望みどおりにしてやる。

「軍務尚書閣下、このままでは帝都の治安維持に重大な過失が生じかねません」
「そうだな。どうすれば良い、ヴァレンシュタイン」
「この状態を解消するにはどちらかがその職を離れるべきでしょう。幸い軍務尚書閣下は人事権を持っていらっしゃいます。ご判断ください」
「クラーマー憲兵総監、これまでご苦労だった。しばらく家で休みたまえ。いずれ新しい任務についてもらう」
「…」

クラーマーは何も言えずにいる。憲兵隊もこれで俺の言う事を聞くだろう。下はともかく上で俺に反感を持つ奴がいるからな。権力闘争は一度で十分だ。
「後任の憲兵総監は私が兼任しよう」
えっ、軍務尚書が兼任、実務は誰がするんだ?

「ヴァレンシュタイン、卿は憲兵副総監として憲兵隊を指揮せよ」
はぁ、なんだって。
「うむ。それは良い案じゃ。さすが元帥じゃな」

年寄り二人はうれしそうに話している。俺は何かとんでもない間違いをしたんじゃないだろうか。どう見ても墓穴を掘ったとしか思えない。喜んでいる老人二人を見ながら、俺は敗北感に打ちひしがれていた。なんでこうなった?



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