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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十九話 襲撃(その3)
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ンラーデ国務尚書が物問いたげな表情を浮かべている。
「今しばらくお待ち下さい。憲兵総監クラーマー大将が揃っていません」
二人は顔を見合わせ頷いた。

しばらくするとクラーマー大将が部屋に入ってきた。俺はともかくエーレンベルクとリヒテンラーデがいる事に驚いたらしい。“や、これは”とか“遅くなりました”
などと言っている。俺の方を見ようとはしない。

「ヴァレンシュタイン大将、我等を呼んだわけを話してもらいたい」
リヒテンラーデ侯が話しかけてきた。
「警備の陣を破り、リッテンハイム侯に接触した人間がいます」
一同はぎょっとした顔でこちらを見詰める。

「憲兵副総監オッペンハイマー中将です」
「なんだと、馬鹿な」
「事実です。クラーマー憲兵総監」
「それで、今どうなっているのだ? ヴァレンシュタイン」
「オッペンハイマー中将は命令違反、上官侮辱罪、さらに皇位継承の有資格者の身を危険にさらした事、反逆を煽った事、それらの罪で逮捕しました」

エーレンベルクの問いに俺は答えた。クラーマーはきょときょとしている。そんなクラーマーを横目で見ながらリヒテンラーデ侯がいぶかしげに俺に問いかける。
「リッテンハイム侯はどうした?」

「今回の一件、オッペンハイマー中将の独断だったようです。リッテンハイム侯は憲兵副総監が面会を求めてきたので警備上の事でなにか問題でもあったのかと思い屋敷に入れたといっています」
「信じてよいのか」

「信じてよいと思います、国務尚書閣下。今現在、リッテンハイム侯から調書を取っております」
「調書だと!」
信じられないといった口調だ。エーレンベルクとリヒテンラーデは顔を見合わせている。

「クラーマー憲兵総監、部下の監督不行き届きですね」
俺はクラーマーに話しかけた。この男にも責任は取ってもらう。
「そ、それは」
「もう少しで、大事になるところだったのですよ」
「どういう意味だ」
不審な表情で、エーレンベルクが聞いてくる

「オッペンハイマー中将は次の皇帝はサビーネ・フォン・リッテンハイムだと言ってリッテンハイム侯の野心を煽ったのです」
「 ! 」
エーレンベルクとリヒテンラーデの表情が厳しくなる。クラーマーは蒼白だ。

「本来ならオッペンハイマー中将の逮捕は、クラーマー憲兵総監、貴方御自身が行なわなければならないことですが、一体何をしていたのです?」
「そ、それは」
「まさか、オッペンハイマー中将の行動を黙認したわけではありませんよね」
「ち、違う、そんな事は無い」
エーレンベルクとリヒテンラーデは鋭い視線をクラーマーに向けている。クラーマーは凄い汗だ。

「帝都防衛司令部にも一度もこちらに来ていませんがどういうわけです?」
「そ、それは忙しかったのだ。色々
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