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おぢばにおかえり
第二十四話 出会いその九
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「自然と出て来るものだし」
「自然にですか」
「だから無理して出す必要もないものなのよ」
 少なくとも私はそう思います。個性は黙っていても自然に出て来て目立つものだと思います。よく考えると奥華の人は全部そんな感じです。
「君だってね。そうよ」
「僕自己主張していませんよ」
「目立つって意味よ」
 やっぱり本人に自覚はありませんでした。予想していましたけれど。
「私だからいいけれど変な先輩には気をつけなさいよ」
「何かそう言われるとお姉さんみたいですね」
「私弟はいないわよ」
 何故かいつも弟がいそうって言われますけれど。それでもいないです。妹が二人、それが私の姉妹です。女の子三人で気兼ねなく過ごしてきました。
「お兄ちゃんもね」
「そうなんですか、意外」
「意外じゃないわよ。それにしても」
 一年生の教室の前にいるので視線が気になります。まだ私が三年だってことは気付かれていないようですけれどすぐに気付かれるものです。今のうちに帰らないとと少し焦ったところで。
「じゃあ先輩」
「何?」
「有り難うございました」
 にこりと笑って私に言ってきました。
「じゃあこれで。教室に入りますんで」
「ええ、これでもうどのクラスかわかったわよね」
「はいっ」
 何かその笑顔が随分と。無邪気で人なつっこくて。可愛く思えたなんて言ったらこの子がまた調子に乗っちゃいそうで止めておきました。
「おかげで助かりました。じゃあこれで」
「これでお別れね」
「お別れって何か」
 今の私の言葉に少し寂しそうな顔を見せます。
「同じ学校なのにまた会えるじゃないですか」
「私は会いたくないの」
 むすっとした顔で阿波野君に答えました。
「全く。手がかかったわよ」
「後輩は手がかかるものですよ」
「それでも手がかからないように努力しなさいっ」
 また怒っちゃいました。八重歯が見えちゃいそうで気になりますけれどそれでも。
「これじゃあまるで本当にお姉さんみたいじゃないの」
「まあまあ」
「とにかく。これでね」
「はい。じゃあまた」
「またはなくても別にいいからね」
 当然本音での言葉です。
「わかったら早く教室に入るのよ。いいわね」
「わかってますよ。先輩は厳しいなあ」
「厳しくなんかないわよ」
 怒った言葉が自然に出ちゃいます。
「阿波野君がふざけてるだけでしょ。いい加減にしなさい」
「はいはい」
 何はともあれ彼は教室に入りました。そのむすっとした顔でそれを見送ってから私も自分のクラスに戻りました。けれどクラスに戻ったら早速。
「やるわねちっち」
「見直したわ」
 いきなりクラスメイトの皆から言われました。学年も三年生になると皆お互い知っているんで新しいクラスでも他人行儀はなしです。皆囃し立てて
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