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101番目の舶ィ語
第九話。千夜一夜夢物語C悪夢
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つめる。

「それに『主人公』になれば、もうすぐ死ぬというお前さんの運命も自分の手で覆せる。お前さんは本来ならさっき、スナオの手に捕まった後は攫われてしまうはずだった。だけど、負けたくない、絶対に負けられないという意志の力でその運命を跳ね除けて、自分の意志で、命もスナオの心も掴み取ったんだ。お前さんには、自分の運命を自分で引き寄せる、そんな才能もあるのさ。これは紛れもなく『主人公』の才能だ」

アリサの言葉はかなり魅力的な提案に聞こえる。スナオちゃんのような苦しむ人々を救えるばかりか。死ぬ可能性にある自分の運命を自分で覆せるようになるのだから。
だが、それは……。

「ってなわけだ、リア。私と一緒に『千夜一夜』を過ごさないか?」

それは、これからもずっと。こんな戦いや恐怖の中で生きていくということ。
死の運命は自分で跳ね除けられるかもしれないが、死ぬ確率そのものは上がってしまう、そんな世界で生き続けるということ。
当たり前の日常から戦場への移行。
それは、ごく普通に過ごしてきた人間にとっては決断したくない道だ。
元武偵の俺でさえ、この短期間で何度死ぬかもしれないと思ったほど、恐ろしい目に遭ってきた。
一之江に殺されるまで追いかけられたり、キリカの蟲に食べられそうになったり、人喰い村の中で死んだ村人達から逃げ惑う羽目になったり、夢の中で茨で貫かれて殺されそうになったり、超音速の衝撃で吹き飛ばされたり。
そんな怖い目に、理亜が遭うことになるなんて。そんなことは______。

「何故ですか?」

アリサを真っ直ぐ見つめて理亜は問いかける。

「何故、貴女はそんなにも『主人公』を求めているのですか?」

理亜の問いにアリサはニヤリと口元を釣り上げたまま語り始める。

「私は『予兆の魔女』だからな。よくあるだろ? 『もうすぐ死ぬヤツの所に現れる猫』とか『もうすぐ死ぬ老人の家にカラスが近寄ってくる』とか『自分と同じ姿のヤツを見たら3日以内に死ぬ』とか、そういうの。私はそんな『予兆』を司っている魔女だからだよ」

ベンチから立ち上がったアリサは、ゆっくりとスナオちゃんの元に近寄ってきた。

「だから、この曖昧でいい加減な『世界』がもうすぐ死ぬっていうのを理解してしまったのさ。むしろ、もうそろそろ死ぬからこそいい加減で曖昧になっているのかもしれないな」

______この世界が死ぬ?

そんなことをいきなり言われてもそれこそ理解できない。
理亜だって、いきなりこの世界が『もうすぐ死ぬ』とか言われてはい、そうですか、なんて思わない様子で。
ただでさえ、いきなり『もうすぐ死ぬ』と言われて、何も解らない状態で白い手に襲われたりして、混乱している状況でそんな『世界の危機』なんて知らされても、混乱するだけだろ
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