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101番目の舶ィ語
第九話。千夜一夜夢物語C悪夢
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ういうことかぁ』と理解する。
理亜が見た『悪夢』の内容。
彼女は、俺が死ぬ夢を見たのだ。
しかも______それはただの夢ではなく。アリサの能力である『予兆』として。

「兄さん、私……嫌なんです」

搾り出すかのように、理亜は声を出しているがその声にはいつものクールさが無くなっていた。
切なそうな、苦しそうな。震えた声が聞こえて俺の胸を打つ。
あんなに怖い目に遭っている時でさえ落ち着いていた理亜が、今はすっかりか弱い女の子のようになっていて。

「嫌なんです。私、兄さんが死ぬの。だから……だから……」

俺の為に『主人公』になってくれた理亜の。





『物語の主人公になってみたいか?
もし、黒い携帯電話を受け取るだけで、物語の『主人公』になれるとしたら______受け取るか?』





俺との日常の為に戦うことを決意してくれた理亜の。





『それはきっと、特別なことが起きるプロローグ。
だけど、俺、遠山金次は主人公になんか、なりたくない。
だって、面倒事に巻き込まれるだけだぜ?
したくもないコード探しをさせられて。戦いたくもないのに、戦わされる。
それは面倒で、大変で、危険なことしか起きない日常と掛け離れた厄介事だ!』






それは痛いくらいに激しい、想いだった。





『だけど、俺、遠山金次は______彼女達の為になら、この身を危険に晒してやろうと思う。
おそらく、世界中の男達……世界中の『主人公』と同じように______!』

そう思っている俺だが……。






「お願いだから、もう戦うのを止めて下さい」






今の俺には、泣きじゃくる理亜の背中を静かに抱き締めることしか出来なかった。
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