暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
第九十九話
[2/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
大ギルドであり、もちろんクラインも襲われたことや戦ったこともある。……間違いでなければ、その中にルクスの姿があった。

「……いや、別に尋問してるわけじゃねぇんだ。ただよ、何か変なこと考えてなけりゃ……な?」

 目を伏せて何も語らず、身体が小さくなったかのように萎縮するルクスを見かねて、クラインは少し語気を弱らめた。別に《笑う棺桶》に似た人物がいたから、という理由で糾弾しているのではなく、ただクラインはクラインなりに心配していただけなのだから。先の《死銃》事件の時のように、まだあの集団は終わってはいないのではないか、と。

「そ、その……私は……ひゃっ!」

「ルクスさーん! クラインさーん!」
 震える声で何かを語ろうとしたルクスの目の前を、小さな青色の竜――ピナが横切った。そのまま驚いたルクスの頭の上に座り、神妙な面もちをしている二人をキョトンとさせる。

「やっと見つけました! 二人とも、大丈夫……?」

 遅れてやってきた飼い主ことシリカが、ピナを回収しながら向こうからやってくるが、その場に残っていた神妙な空気に感づいた。すぐさまピナとともに、ルクスを守るように背にすると、クラインに指を指して注意を始める。

「クラインさん! ルクスさんに何かしたんですか?」

「い、いや、何ってよ……」

 今すぐにでもバブルブレスをぶちまかしそうな、そんなペットと似たような雰囲気を醸し出すシリカに、ついついクラインは圧倒されてしまう。元々、他のメンバーにルクスと《笑う棺桶》のことを言う気はないクラインは、何と説明すればいいやら戸惑っていると。

「ルクスさんは私たちの友達なんですから、セクハラは止めてくださいね?」

 ルクスさん真面目なんですから、真に受けちゃいますよ――と続いていくシリカの言動に、すっかり周囲の張り詰めた空気は雲散霧消する。クラインにルクスもすっかり毒気が抜かれてしまい、どちらからともなく表情に微笑みが浮かぶ。

「あー……そんなことしてねぇよ。ちょっとナンパしてたんだけどよ、キリト様大好きってフられちまって。なぁルクス」

「あ、ああ……」

 そんな三文芝居を疑わしげな視線で眺めていたシリカだったが、特に追求することもせずにルクスから離れていく。代わりと言ってはなんだが、せっかく回収したにもかかわらず、ピナは再びルクスの肩に飛び移っていく。シリカは肩を落として諦めつつ、ピナを撫でるルクスへと話しかけた。

「ルクスさん、クラインさんに何かされたら、絶対に相談してくださいね?」

「すまない。でも大丈夫だよ」

 冗談めかした口調で話すシリカを、ほんわかとした笑顔でなだめるルクス、という光景を眺めながら。とりあえずクラインは、先程のルクスへの質問は、自分の胸にしま
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ