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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第174話 劉gと劉j
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詮議に影響する可能性があるだけに平静さを保てというのが無理な話である。

「蔡徳珪は官軍に対して徹底交戦を行い、他の蔡一族も官軍に投降することなく最後まで抗った。最早、劉景升殿も無傷ではおれまい。官位官職は全て剥奪されるのは間違いない。そして、その命もどう転ぶか分からない」

 劉gは正宗の言葉に肩を強張らせた。

「劉車騎将軍、母は無実にございます。朝廷に弓を引くなどあり得ません」
「人はそうは思うまい。蔡徳珪は南陽郡太守を襲撃し、余の命を三度狙った。そして、蔡徳珪は勅を得た余に対し、使者を装い刺客を送り込み余を亡き者にしようとした。この間、劉景升殿は何も行動せず傍観を決め込んでおられた。これで劉景升殿が知らぬと通したところでそれは通るまい」

 正宗は厳かな雰囲気で劉gに答えた。彼は劉gを様子を探る視線を送りつつ、温和な表情で劉gを見た。

「余と劉景升殿は同じ高祖を祖に頂く劉氏。余は劉景升殿に力になりたいと思っている。劉g殿、御母君を救いたいとお考えか?」

 正宗は神妙な表情で劉gに訊ねた。劉gは正宗の言葉を聞くと、縋るような視線を送ってきた。無位無官の劉gでは朝廷内の事案に干渉することなど不可能といえた。劉gは朝廷の重臣である正宗の力に頼らざるを得ない。

「当然でございます」

 劉gの表情は病がちで外出を控えていたためか白い顔色であった。しかし、その瞳は母を救いたいという強い意志を感じさせた。

「劉車騎将軍、これを母から預かっております」

 劉gは襟元の縫い目を解き、中からこよりを取り出した。彼女は正宗にこよりを差し出した。正宗は彼女が差し出したこよりを凝視した。

「劉景升殿が余に当てたものか」

 正宗は呟いた。一瞬だが冷徹な鋭い視線でこよりを見た。

「母が洛陽に向かう前に私へ託した劉車騎将軍へ宛てた文でございます。どうぞ目をお通しください。劉車騎将軍にお会いする機会があれば、これを渡すよう言付かりました」
「拝見しよう」

 正宗はこよりを受け取ると解し、書かれている内容を読み出した。文の内容は劉jと劉表の夫の助命を願い出ていた。「家族を守りたい」と切々と書いているが、それ以外に蔡一族と戦端を開いた後も投降を許して欲しいという虫の良い内容が書かれていた。その対価に劉表は私財と荊州豪族達との仲介、そして荊州を正宗に差し出す準備があると書かれていた。劉表は蔡一族の勢力を温存し、正宗による荊州統治で一定の地位を確保しようとしていることが見え透いていた。正宗は目を細める。その瞳は感情が籠もらない冷徹さを感じさせた。

「劉景升殿の約束に応えることは出来そうにない」

 正宗は文から視線を上げると、劉gに劉表からの文を手渡した。正宗は目で内容を読んでみろと促した。劉gは正宗に
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