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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
15.誰ガ為ノ虐殺
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 ドナとウォノ――世界を知らぬ片翼の天使人形。

 その精緻極まる造形は、正に天使と呼んでも差し支えない完成された美。
 もしも僅かでもマジックアイテムの造詣が深い者がその姿を見れば、いくらの富と代償を払ってでも手に入れようとするであろう。もしも美術に並々ならぬ関心がある者なら、プライドや地位をかなぐり捨ててでもそれを求めるだろう。それほどまでに彼らは奇跡的な存在だ。

 しかし――それを力づくで奪うことは決して叶わない。
 何故ならば、完成されたふたりはその戦闘能力も完成しているのだから。

『やっはー!!キノコ狩りだぁぁ〜〜〜!!』

 その小さな体躯に不釣り合いなカミソリのような剣を両手で抱えたドナが、残像の見える速度で魔物の群れに突進し、遠心力を乗せた刃がファンガス達を襲う。僅か一瞬の間に彼女の剃刀剣が星の瞬きのように煌めき――直後、十数にも及ぶ魔物のスライスが周囲にぶちまけられた。

『ヒッサツのぉ――アストロジカル・スラッシュなのだ♪』

 一瞬の煌めきの間に12回に亘って振るわれた音速を超える刃を避ける術など、ファンガスが持っているはずがない。しかもその刃は全てファンガス変異種のコアである魔石を正確に切り裂いている。
 並みの冒険者では決して実行不可能な反応速度を持つドナの前では、『高々22階層前後の魔物など動く的でしかない』。

 そしてそれはウォノにとっても同じことだった。

破邪顕正(はじゃけんしょう)の極光にて仏の元に召されるがよい!!一霊四魂(いちれいしこん)の理――『荒御魂(あらみたま)』ッ!!』

 ウォノの掲げたロッドから真っ赤な魔力が噴出し、魔物を追尾する閃光の矢となってダンジョンに降り注いだ。魔物の体を地面ごと次々に穿つ赤い雨に、魔物は為す術もなく蹂躙され次々に薙ぎ払われてゆく。
 大規模な空間攻撃で潰すのではなく、一体一体を正確に刺し貫く貫通力と驚異的な操作性。例え魔術に秀でたエルフであっても、この光景には唖然とするだろう。それだけ複雑で高度な魔法を、碌に詠唱もなしに行使しているのだ。

 しかも、この二人は触れた魔石から自らの体にエネルギーを取り込む性質があり、ドナは切れば切るほど――ウォノは攻撃魔法を通して必要なエネルギーを補充している。つまり、二人には『人間と違って体力切れがない』。


 はっきりと断言するならば――彼らは既に人間を超えていた。


「……あの子たち、かわいいな」
「……ああ」
「……俺たち、頑張ったよな」
「……ああ」
「……俺たちの貢献度、あの子たちの何分の一だろ――」
「それ以上、いけない」

 身長が自分たちの三分の一以下というチビ人形たちが、自分たちが散々苦しめられた魔物たちを次々に駆逐していく。その常軌を逸
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