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殺戮を欲する少年の悲痛を謳う。
最終12話 殺戮を欲する人格破綻者(サイコパシー)
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 奥の部屋にたどり着いたメリラ。その部屋には大統領のシャルラッハートとHWが居て、クロノスと黒服の男が血を浴びた状態で倒れていた。メリラはHWとシャルラッハートの会話を聞きながら、殺害の機会を伺っていた。
「おい。どうしてクロノスを殺した?」
 シャルラッハートは喉を震わせて声と呼べるものを出した。
『カリヒがGod Program と接触した』
 HWからは電動カミソリのように機械を震わせたような音が、言葉をつなぎあわせながら放たれていた。
「カリヒよりもクロノスのほうが大統領に向いている」
 シャルラッハートは目を細めながら下を見る。彼はすごく心配性だった。God Program を悪用するのではないか。それ以前に、クロノスの人間性を知っていた為、カリヒという“不明確な存在”にいろいろと押し付けていいのかという不安も押し寄せているのだ。
『それについては私も同意権である』
 HWは皮肉に言葉を告げる。
「ではどうして!」
『カリヒの感応現象は意志統率。人を惹きつける。しかし、クロノスの感応現象は思考放棄。集中力を意図的に高めるものだ。人間性はともかく、長い目で見ればカリヒのほうが大統領としての力が高いと思える』
「だが、それはそれだ。集中力は大事だろ?」
 シャルラッハートは気が動転していた。
『大統領の仕事ができていたとしよう。しかし、人が寄って来なかったら大統領の質が下がるだろう』
「だが!」
『諄いぞシャルラッハート』
 HWはシャルラッハートの言葉を遮る。
『お前は臆病すぎる。いい加減腹をくくったらどうだ?』
「君はわかっていない。カリヒは恐らく大統領になることを拒否する。それは目に見えているだろ!」
『大統領を拒否することをGod Program が許すわけ無いだろう。God Program は人間の痛いところを突いて来て大統領にならざる得ない状態にまで追い込む。だから基本的に拒否なんて出来はしないさ』
「いいや。機械の君にはわからないだろうが、カリヒは今、何を言われても動じない。恋人と死別しても尚、私を殺しに来たんだ。実行力の強い彼は間違いなくGod Program を破壊し、私を殺しに来る。いくら黒幕がGod Program だとしてもな」
『では賭けをしようか。シャルラッハート』
「君達は一々人間臭いな。何故賭けという言葉を選んだのか理解しかねるよ」
『そこはどうでもいいだろう。もし、シャルラッハートの言うとおり、カリヒがGod Program の誘いを拒否し、喉であるあの部屋の機械を壊し、君を殺しにここまでやってきたとしよう。もしそうなったら、私はカリヒを殺す。未だ君には大統領を続けてもらう事になるがね。で、もし私が予想したとおり、カリヒが大統領になったら、私は君を殺し、カリヒの側近になろう
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