暁 〜小説投稿サイト〜
殺戮を欲する少年の悲痛を謳う。
最終12話 殺戮を欲する人格破綻者(サイコパシー)
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「カリヒさ…お父さん」
 リーナのぎこちない声が僕を呼ぶ。僕は机仕事を手っ取り早く切り上ながら彼女のもとに近づく。幸い、クロノスがリーナを臨死状態にさせた時の弾丸は子宮に触れることはなく、お腹の中の子供は無事だった。まさか、あの1回で妊娠するとは思ってもいなかったよ。
「今行くよ」
 お腹を膨らませたリーナは朝食の支度を終え、リビングに待ちかまえていた。
「リーナ。食べ終わったら僕寝るよ」
「また徹夜したの?」
 彼女のタメ口は新鮮だ。僕はリーナとの2人きりの新婚生活を楽しむため、あの6人には予算を使って追い出した。
 SRAは僕達が大統領になった時に解散した。
 奴隷制度が廃止され、学校を大量に作る計画を建てた。
 その学校を作る仕事に元SRAのメンバーの一部を借りだしたのだ。
「まぁね。こうでもしないと、肉体労働をやっている彼らに示しが付かないからね」
 僕は椅子に座り、彼女の作る朝ごはんを食べる。
『生まれ変わったら、平和に、カリヒさんと出会って、結婚して子供を産んで、死ぬまで隣に寄り添いたいです』
 確かあの時、リーナはそんなことを言っていたかな?
 食事を終え、僕はリーナの膨らんだお腹を擦る。
「君は。どんな子供に成長するんだろうな?」
 僕はそういいながら、リーナの頬にキスをし、お腹に耳を当てる。
 恐怖とはわからないということだ。
 好奇心とはわからないものを探求する精神の事を指す。
 どちらもわからないものに対する感情なのにもかかわらず、考え方一つで言い回しが変わる。
 僕は幸せがわからない。SRAにいた頃、それに恐怖していたが、今では幸せを探求する好奇心に駆られる。
 今、僕は幸せなんだ。これが幸せなんだ。

                   …終わり
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