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竜のもうひとつの瞳
第五十七話
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いうちから側近選んでたしね。
つまり佐助もそれを求められているわけ。そういうポジションなら副将としても立たなきゃならなくなる……
忍として簡単に駒にしてしまえば、幸村君を支える役目がいなくなる。
うちは小十郎が最悪いなくなっても、政宗様の周りには側近が他にもいるから然したる問題じゃないの。
位だってそこまで高いわけでもないしね。小十郎が目立ってるだけで、他にも優秀な側近はいるんだよ」

 あくまで小十郎と政宗様の補佐である私とは大違いなほどに、小十郎の役割って実は結構キツイ。
よくアレで禿げないなぁと思うけど、本人に指摘すると怒られるから何も言わないでいるけどさ。
実は地味に気にしてるのは知ってるからねー。
父上も晩年は地味に頭髪薄かったし、実家の兄も二年くらい前に墓参りに戻って頭を見たらすっかり禿げてたし。
そんなん見たせいか、小十郎ったらそれから抜け毛の量を結構気にしちゃって、時折鏡見て溜息吐いてたりするから笑える。
まぁ、あの子頭髪以外は妙に体毛少ないし、脛だって男のくせにつるっつるだ。
ま、本人はそれも気にしてる節があるみたいだけど、体毛が全部頭にいってるような気がするから当分は大丈夫だと思うわね。

 「……俺様も、そんな役割を担う気は本当はないんだけどねー……」

 言葉にならない幸村君の隣で、ぼやくように佐助がそう口にする。

 本当……大丈夫なのかねぇ、甲斐は。さっさと御暇して、奥州に今が狙い目だから攻めろって文でも送るか? この際。
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