第十四話 新宮殿の主
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がございます。先ほど新都市計画にございました、製鉄所建設の件でございますが、殿下は、平民らに鉄を作らせる事が目的なのでございましょうか?」
「その通り、平民でも鉄や鋼が作る事が出来ようにするのが僕の目的だ」
「お言葉ですが、平民に任せずとも錬金の魔法で鉄や鋼はいくらでも作り出せるのではないでしょうか?」
と、文官が言う。
「言われてみれば、その通りかも」
「平民に任せずとも我々だけで十分では?」
ざわざわと、比較的静かだった大会議室はにわかに熱を帯び始めた。
「みんな聞いて欲しい。魔法を確かに便利だ、けど魔法によって出来る鉄や鋼は個々人の能力によって品質はバラバラだ、それでは工業化は成り立たない」
魔法は便利だが、工業化を成すには大量生産と品質の安定が絶対条件である為、魔法のみでの工業化は難しいと、マクシミリアンは考えていた。
「僕たちメイジだけでは、トリステイン王国を大きくする事は難しい、だからこそ平民たちの力を借りる。平民の方がはるかに数か多いから生産体制が整えば、メイジ以上の働きをしてくれるだろう。そして、家臣団みんなにも意識改革をして欲しい、平民は搾取する為だけの存在で無く、我々のトリステイン王国を供に大きくする為の大切なパートナーだ」
マクシミリアンは続ける。
「6000年経った、今までのやり方では、ガリア、またはゲルマニアの国力の前にトリステインはすり潰されるだろう。みんな、もう一度良く考えて欲しい、僕たちのトリステインを外敵から守る為に、そして未来への発展の為に、そろそろ変わるべきだ……違うかい?」
大会議室は水を打ったように静まり返った。
……この日、マクシミリアンの言葉は家臣団それぞれの心に深く残った。
マクシミリアンは家臣団の面々に現在のトリステインの取り巻く状況に、常に危機意識を持つように言ってきた。
『トリステインは小国だ。だからこそ、外敵から祖国を守る為には何でも利用する……』
マクシミリアンと家臣団との間に、この共通意識が芽生えた。
☆ ☆ ☆
今年で5歳になる妹のアンリエッタは、1週間に1回の割合で新宮殿に遊びに来る様になった。
外はすっかり暗くなり、現在、マクシミリアンは泊まりに来たアンリエッタと一緒に風呂に入っていた。
「あ゛〜……いい湯だ〜」
「あ〜……いいゆだー?」
マクシミリアンは、アンリエッタと二人、湯船にどっぷりと浸かっていた。
風呂好きで知られるマクシミリアンは、新宮殿の内装には口を出さなかったが、大浴場には口を出した。
「あ〜、所で
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