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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百八十四話 再来
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ッケやリヒター達が平民階級を代表する形で政権に参加している。問題は無い。問題が有るとすれば今後だな。如何いう制度で柔軟性と革新性を維持運営するか。

議会というのは政府閣僚候補者のプールでもあるわけだがそれを作らないとなれば代わりの機関が要る。俺が今考えているのは枢密院だ。皇帝の顧問官で組織される諮問機関、枢密院を設置する。そこには官僚、軍人、財界人、そして地方自治で成果を上げた政治家を皇帝顧問官として入れる。それによって人材をプールする……。世襲じゃないから特権階級にもなり辛い筈だ。

リヒテンラーデ侯に話してみるか、爺さんも議会制民主主義には反対だった。或る程度俺とは考えが似ている筈だ。憲法制定も含め相談してみよう。何と言ってもこの手の問題は理想主義者には任せられない。爺さんの様な喰えない古狸の考えが一番参考になる。暫らく会っていないから妙に会いたくなった。多分気のせいだろうけど……。



宇宙暦 799年 6月 25日    ハイネセン  最高評議会ビル  ジョアン・レベロ



「行ったのかね、ホアン」
「ああ、行った。君に宜しくと言っていた」
「……そうか、……最後にもう一度会いたかったが……」
「仕事優先だ。その事はトリューニヒトも理解している」
ヴァレンシュタイン元帥が帝国への帰還の途についた。トリューニヒトもそれに同行している。ハイネセンではトリューニヒトを裏切者と罵る声も多い。今も最高評議会のビルの前でデモが行われている。そしてその有様をビルから二人で並んで見ている。遣る瀬無い気持ちになっているのは私だけではないだろう。

「ホアン、トリューニヒトは上手くやれるかな?」
「さあ、如何かな。相手はかなり、いや相当手強い」
あの会談で分かった事、それはヴァレンシュタイン元帥が軍人というだけでなくかなりの政治的識見が有るという事だった。そして明確な国家ビジョンを持っている。リヒテンラーデ侯の信頼が篤いというのも軍人としての能力だけでなく政治家としての能力も認めての事だろう。おそらく、これからの帝国は彼が率いて行く事になる……。

「先日の会談だがね、私は敢えて議会の設置を提議してみた。彼を怒らせてみたかったんだ。怒れば本当の彼の姿を見られるんじゃないかと思ってね」
「それで、如何見たんだ?」
隣りに居るホアンが“ふむ”と鼻を鳴らした。
「かなり人間を否定的に見ている。猜疑心が強いのかと思ったが亡命者を重用しているところを見ればそうとも思えない。個人は信用しても集団、いや群衆としての人間は信用していないのだと思う。国民主権、民主共和政など論外だな」
なるほど、群衆か。集団になると人間は付和雷同し易い特性が有る。理解は出来るな。

「彼はルドルフの再来だと思う。ルドルフも大衆は信じなかった。一
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