暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三十五話 信義
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 ルックナー、リンテレン、ルーディッゲ提督が帰ってきた。三人に話を聞くと敵は一万隻ほどを用意してきたとか。ラインハルトはかなり危ない状況だったらしい。やはり兵力が多い事が影響しているようだ、それともヤン・ウェンリーの影響力が原作より大きく成っているのか。どちらにしてもいい状況じゃないのは確かだ。

俺が三人に礼を言うと、三人とも笑いながら礼には及ばないと言ってきた。”あのミューゼルに貸しを作れたのは悪くない”、”卿に助けられたと知ったときのあの悔しそうな顔は一見の価値があった” なのだそうだ。ラインハルトも人望が無いよな。まあ生意気が服着て歩いてるようなものだし、しょうがないか。もう少し、覇気とか野心とか抑えられればいいんだけど。

 俺に対する礼というのも酷いものだった。いつか必ずこの借りは返すなどと喧嘩を売っているのか礼を言っているのか判らない代物だったが俺はあえて気にしない事にした。そんな事より厄介な問題が発生したのだ。ワルター・フォン・シェーンコップが例の馬鹿げた挑発行為を始めた。この問題は放置できない。放置すればリューネブルクの生死に関わる問題になる。せっかく彼とは親しくなれたのだ。この縁は無駄にしたくない。

■ ヘルマン・フォン・リューネブルク

厄介な事になった。シェーンコップが俺を挑発している。強襲揚陸艦で敵艦に接触、乗り込んで占拠すると通信装置で俺を名指しで呼び出すのだ。ヴァレンシュタインは気にするなとは言っているが、周りの俺を見る眼は決して好意的なものではない。今俺はミュッケンベルガー元帥に呼ばれ会議室に向かっている。多分この件だろう。嫌な予感がするが行かざるを得ない。ヴァレンシュタインが自分も用事があると言ってどういうわけか付き添ってくれている。

驚いた事に会議室の中にはミュッケンベルガーだけでなく、オフレッサー上級大将もいた。益々嫌な予感がする。
「ヘルマン・フォン・リューネブルク、参上しました」
「うむ。…ヴァレンシュタイン准将、卿を呼んだ覚えは無いが?」
ミュッケンベルガーが少し眉をひそめながら言う。この男が苦手か?

「リューネブルク少将のことでご相談したい事がありまして御一緒させていただきました」
ヴァレンシュタインは平然と述べ、さらにミュッケンベルガーの顔をしかめさせた。
「…そうか。リューネブルク少将、卿も反乱軍が聞くに堪えぬ悪罵を放って卿を呼び出している事は知っているな」
「はっ」

「聞けば彼らはローゼンリッターと呼ばれる裏切りものどもらしい」
「卿の昔の仲間だな、リューネブルク少将」
嫌な事を言うな、オフレッサー。こいつら二人一体何を話していた?

「わしはな、リューネブルク少将、卿ならずとも、たかだか一少将の身上などかかわってはおられんのだ」
「では小官にど
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ