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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三十五話 信義
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うせよと仰いますか」
「知れた事ではないかな。卿自身の不名誉だ。卿自身の力を以て晴らすべきであろう」
「なるほど……」

切り捨てられたか…。結局俺は同盟でも帝国でも居場所が無い。これまでか…。
「お待ちください。小官はそれには反対です」
ヴァレンシュタイン……
「小僧、元帥閣下に対し無礼であろう」

「リューネブルク少将は亡命者です。其処をお考えいただきたいと思います」
「…何が言いたい」
ミュッケンベルガーは不機嫌そうでは有るが、ヴァレンシュタインの意見を聞こうとしている。無視されたオフレッサーは不機嫌そうだ。ミュッケンベルガー、ヴァレンシュタイン、この二人どういう関係だ?

「リューネブルク少将はヴァンフリート4=2で敵基地攻略をした功労者です。その少将を切り捨てるが如き行動を取れば、他の亡命者たちはどう思うでしょう?」
「……」
「功労ある少将でさえ切り捨てられた、ならば自分たちはもっと容易く切り捨てられるだろう。そう考えるでしょう」
確かにそうだろうな。

「彼らは切り捨てられるくらいならと帝国を捨て反乱軍に戻る事を選択するでしょう。そして彼らが何を言うか? 帝国は亡命者を大切にしない、功を上げても切り捨てられる、信じられる国ではない。そんな事を言うに違いありません。二度と帝国に亡命者が来ることはなくなるでしょう」
「……」

「部下を切り捨てる、見殺しにする、そんな士官、上官に誰がついていきます? クライスト、ヴァルテンベルク両大将がなぜイゼルローン要塞の防衛よりはずされたのか、今一度お考えください。」
「……」
誰も口を挟まない。ヴァレンシュタインの言う事はもっともだ。会議室の中に彼の言葉だけが響く。

「これは、兵の統帥の根幹に関わる問題であり、帝国の信義に関わる問題です」
「……では、どうするのだ」
「放っておけばよろしいと思います」
「馬鹿な、それでは帝国の名誉が…」
「勝てばよいのです」
オフレッサーの怒声をヴァレンシュタインがさえぎる。

「もうすぐ反乱軍がイゼルローン要塞の前面に押し寄せます。そこで勝てばよいのです。そうすればローゼンリッターのつまらぬ小細工など、負け犬の遠吠えに過ぎません」
「……卿がリューネブルク少将を其処までかばうわけはなんだ?」
「小官の副官も亡命者です。部下が不当に扱われようとしている、あるいはその危険が有るのであれば、上官としてそれを守るのは当然の義務だと考えています」


 結局、ヴァレンシュタインの意見が通った。俺は首の皮一枚で助かったらしい。またこの男に借りが出来たようだ。借りはいつか返す、そう言うとヴァレンシュタインは最近良くそう言われると言って笑い出した。

 敵は大軍だが勝てるのだろうか。ヴァレンシュタインに聞いてみ
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