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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三十三話 ヴァレリー・リン・フィッツシモンズ
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、そんな眼だった。准将を非難の眼で見る士官もいたが、准将は平然としていた。中には言葉に出して准将を咎める士官もいた。シュターデン少将といって准将を眼の仇にする四十年配の不機嫌そうな顔をした士官だった。

「ヴァレンシュタイン准将、この職場に亡命者を副官として伴うなど不見識ではないかね」
周囲でも何人かうなづいている人間がいる。
「亡命者を副官にする事が不見識だとは思いませんが」
ヴァレンシュタイン准将はおっとりと言った。この少年は険しい声を出した事が無い。よっぽど育ちがいいのだろうか?

「宇宙艦隊司令部に亡命者を入れるのが不見識だと言っているのだ!」
「なるほど。宇宙艦隊司令部にですか。そうかもしれませんね、では辞表を出しましょう。最近体の調子が良くありませんから。それなら問題ない」
ちょ、ちょっと。そんな簡単に辞めちゃうの。 

「卿は何を言っているのだ。卿を作戦参謀にと望んだのは元帥閣下なのだぞ。そのような事が通ると思っているのか」
元帥閣下の御指名! あんたほんとに何者なのよ?
「でしたら、元帥閣下に申し上げてください。ヴァレンシュタイン准将は作戦参謀に相応しくないと。元帥閣下の御了承さえいただければ何時でもクビに出来ます」

ひぇー。優しい顔してこの子怖い。お前なんかが一々口出すな、文句が有るなら元帥に言え、だなんて私にはとても言えない。シュターデン少将は不機嫌そうな顔をさらに不機嫌そうに歪めて准将を、私を睨みつけた。私は怖くて震えそうだったけど、准将は平然と作業を続けていた。本当に私が副官でいいのだろうか?


「閣下。本当に小官が副官でいいのですか?」
「構いません」
「しかし、クビになってしまったら…」
「構いませんよ。あそこにいるのは本意ではありませんからね」

「しかし、宇宙艦隊司令部といえば皆があこがれる職場ではありませんか」
「私があそこに呼ばれたのは、好き勝手させないためです」
「好き勝手?」
「ええ、前の戦いで随分好き勝手をしましたのでね。上から睨まれているんです。上は私を眼の届くところで監視しておきたいのでしょう」
「……」

「貴方が副官になってくれたのは好都合でした。上手くいけば辞められますからね。もっとも戦死の確率が低いと言う意味ではいい職場なのですが」
この男、外見は優しいけど、中身はとんでもない根性悪だ。心配して損した。
「あの、シュターデン少将のことですけど……」
「気にしなくていいです」
「え…」

「シュターデン少将は私が士官学校の生徒だったときの教官なんです。それが今では同じ職場で肩を並べて作業している。面白くないでしょうね」
「あの、士官学校時代というのは、どれくらい前なのですか?」
「そうですね、四年前かな」
四年で准将。そりゃみん
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