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衛宮士郎の新たなる道
第11話 嵐の前の静けさ
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としての言葉を把握する力と慣れで、速読がかなり得意の様だった。
 そんな2人が本に向かって真剣――――というか、無表情で速読している光景を見ている教室内外の女子生徒達は、読書の邪魔はしない位にときめいて癒されていた。

 「はぁ〜、御2人ともあんなにカッコイイ表情で読書する姿も絵になるわ〜」
 「見てるだけで癒されるわね〜」

 そんな風に、周りの女子生徒達をメロメロにさせている張本人達の内の1人である士郎が、二冊目を読み終えて三冊目に突入しようかと手に掛けた時だった。

 「ん?」
 「如何した衛宮?」

 中学生からの付き合いで親友と言ってもいい京極は、士郎の実力及び、気配察知による広範囲かつ高い感知能力がある事を知り得ていたので、親友が何かを感じ取ったと直に気付いた。

 「いや・・・冬馬と直江が放課後に決闘するなどと言っているみたいだな」
 「ほう・・・!――――相変わらず川神学園(此処)は退屈に困らないな」

 まるで見て来たかのような士郎の言葉に、京極は何の疑いも無く信じてから口元に薄く笑みを作るのだった。


 −Interlude−


 放課後。
 士郎は昼休みの件が気になったので屋上へ向かった――――なんてことは無く、部活に精を出す為に弓道部へ来ていた。
 気にならないと言えば嘘になるが、弟分が誰かと一々決闘するからと言って気になって見に行ってしまうのは如何かと考えて、行かないと言う選択をしたのだ。
 そうして弓道着に身を包んだ士郎が男子の着替え室から出ると、そこには新入生である一学年の階で何度か見かけた事のある少女が立っていた。

 「初めまして、衛宮副部長!私は昨日から入部しました、武蔵小杉と言います。副部長の御高名と武勇伝は家や先輩の方々からかねがね」

 初対面である先輩後輩の間の感覚としては、学生にしては固すぎるが仕方が無いモノだった。
 先代は兎も角、現当主の舵取りにより武蔵家全体を湧き起こした上で地味に着々と規模を拡大させている武蔵家と、極道にも拘らず地域の顔役同様の評価と信頼を獲得している上に、日本の各地方の有力者や大地主達とも太いパイプを持っている藤村組は、今は上下関係こそあれど立場的にも似ているので、少なくとも表面的には仲良くしていた。
 その理由から、その家の実子やほぼ身内同然の客分扱いの挨拶も、固くなるのは仕方がない事だった。下手な事をすれば、両者の上への関係にどんな影響を及ぼしてしまうのか、不透明だからだ。

 閑話休題(そして話は戻る)

 「こちらこそ、弓道部員で居られる時間はもう半年ぐらいしかないが、宜しく頼むよ」

 されど経験豊富な士郎は幾つもの修羅場を経験し、様々な人間を見て来たので、それらを元にどの程度固く柔らかくが良い
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