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豹頭王異伝
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湖の導灯
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りしめた。

(当然の処置です、御依頼は確かに承りました。
 信頼の置ける魔道師以外は、この島に置くべきではありません。
 情勢の変化には私が、責任を持って対応します。
 ヴァレリウス様は何も心配せず、警戒に専念してください。
 ナリス様が死を免れる時、世界は新たな方向に向かう。
 大導師アグリッパの言葉を、私も信じています)


 グインは鬱蒼と生い茂る森の只中、シュクの郊外に出現していた。
 周辺に取り残された格好で主の帰還を待ち侘びている筈の旗本隊、竜の歯部隊を探す。

(古代機械を俺が操作出来ると竜王は知ったが、簡単に捕えられるとは思わぬだろう。
 アルド・ナリスの生命を脅迫の種に用い、レムスの望み通りにするとは思わんが。
 むしろ竜王の操る傀儡や異次元の魔怪より、あの王子が気になる。
 下手をすれば暗黒魔道師同盟の元締、グラチウス以上に厄介な存在かも知れぬ。

 純粋な《悪》など、想像した事も無かったが。
 先日キタイで遭遇した異次元の妖魔達より、悪意が濃いと感じられた。
 一刻も早く、クリスタルを解放し魔王子と竜王を駆逐せねばならん。
 中原各国には既に、アルド・ナリスの告発が伝わっている。

 竜の門も現れ、キタイ勢力の侵略が事実である事は証明された。
 クリスタルを解放し聖王宮を公開すれば竜王の脅威を証拠立て、遠征を開始する下地は整う。
 パロを正常化し得るか中原全体がキタイ同様の異世界となるか、ここ数日が勝負になる。
 ナリスの治療を古代機械に命じたが、先程の感触だと数週間は要するだろう。

 思わぬ展開となったが、アルド・ナリスとの精神接触《コンタクト》は収穫だった。
 キタイを解放し竜王を追い払う為、シーアンの謎を暴かねばならぬが。
 彼の知性と想像力は俺自身の謎を解く際にも、助力が期待出来そうだが。
 先ずは神聖パロ側の拠点マルガに入り、クリスタルに《光の船》で奇襲を試みるか?
 ヴァレリウスは常に俺の動きに注意すると言ったが、古代機械の転送には追い付かぬかな)

 竜の歯部隊は訓練の成果を見せ、抜かりなく周辺を偵察していた。
 数分後、グインは歩哨を発見。
 留守を預かる隊長、カリスの天幕へ案内される。
 警戒を怠らぬケイロニアの精鋭達と合流を果たし、直ちに北アルムへ伝令が疾った。

 即刻ダーナムへ向け移動を開始せよ、合流地点は後に指示を出す。
 そんな場所は存在しない、と古代機械は断言したが。
 伝令は無事ガウス以下50名の許へ到着し、ケイロンの騎士達は鍛え上げられた成果を実証。
 逡巡や躊躇を見せず、無駄の無い俊敏な動作で西方へ疾走を開始する。

 グインは抜かり無く、ワルド城に宛て救援物資の準備要請も含む詳細な指示書を作成。
 伝令役の
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