暁 〜小説投稿サイト〜
Deathberry and Deathgame
Chapter 3. 『世界を変えた人』
Episode 15. Take care of Black Cat
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(テレビかなんかで見たやり方らしい。昔三日やって挫折したとか何とか)、歌とも鬼道の詠唱ともつかないナニかを発声するようになった。負けず嫌いなのは大いに結構だが、せめて俺のいないトコでやってくれ。部屋の外への音は一切遮断されてるからご近所トラブルにはならなくても、同じツインで寝泊まりしてる俺には直で聞こえてくんだよ! という俺の切実な訴えは、何の効力も発揮せずにシカトされた。勝率ゼロのジャンケンを二か月続けても諦めなかった俺を愚劣とか言いやがったのは何処のどいつだっつーの。

 と、ひとしきりやって満足したのか、リーナはバケツを頭から退けるとアイテムウィンドウへと放り込んだ。今日のところはこれでお終いらしい。

「ん。ちょっと良くなったような気がする」
「錯覚だろ、目え覚ませ」
「一護、貴方はもう少し相棒に対する配慮というものをすべき、精神的な意味で」
「だったらオメーも相棒に対する配慮ってものをしやがれ、聴覚的な意味で」
「そう思うのなら、もっと効果的なトレーニング法とか機材を探してきて。具体的には、『一日一時間であらフシギ! 三日で歌が完全習得できるマシン!!』みたいなのを」
「ムチャいうな。ンなもんがマジで存在しちまったら、音痴って言葉がとっくの昔に死語になってんだろ」

 卍解における転神体みたいなもんがそうそうあってたまるかよ……いや、あのゲタ帽子ならどっかから出してきかねない。某タヌキも真っ青――奴は元から青いが、まあ比喩ってヤツだ――の何でもアリっぷりだからな、あの人。
 そんな俺の思考を余所に、リーナはスタスタとこっちに歩いてきて、俺が寝そべるソファーへとダイブしてきた。潰される前に起き上がって回避してやると、クッションに頭から突っ込んだリーナはうつ伏せのまま器用にスニーカーを脱ぎ捨て、もぞもぞといつもの体育座りへと体勢を変えた。

「大体、じゃんけんでもコイントスでもルーレットでも全戦全勝の私が、歌で一護に負けるなんて絶対におかしい。どこかに見落としがあるはず」
「いやおかしいのはオメーだよ。じゃんけんでもコイントスでもルーレットでも、この半年の間一回も負けがねえってどーゆーコトだよ。それで十分過ぎるじゃねえか。自重しろ」

 不服そうなリーナに俺がツッコみをいれた時、視界に小さなウィンドウが表示された。メッセージの着信を示すそのアイコンをクリックし、中身をザッと流し読んだ俺は「すぐ行く」とだけ書いた返信を飛ばし、首をボキボキやりながら立ち上がった。
 部屋着に着ていたパーカーをアイテムボックスに戻し、いつもの襟なしロングコートと愛刀『宵刈』を装備した俺を見て、リーナが首をかしげた。

「下の層に狩りに行くの? それとも狼ヶ原?」
「いや、ディアベルから『力を貸してほしいことがある』ってメッセージが来
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