暁 〜小説投稿サイト〜
Deathberry and Deathgame
Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 7. Die Hard’s Daily Life (2)
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。その一階にあるシンプルなすりガラスの嵌ったドアを、俺は押し開けた。

「……オーッス」

 テンション低く呼びかけると、目的の人物はカウンターの奥で作業をしているところだった。どうも在庫整理でもしていたらしく、モンスターの革やら防具やらが大机に散乱している。

「ん、いらっしゃ……よお、一護か。どうした、景気の悪い面して」
「ちっと食い過ぎでグロッキーなだけだ、気にすんな。それよりエギル、いつもの頼む」
「成程。そいつはご愁傷様」

 未だにワッフルをモグモグやってるリーナを見て何となく察してくれたのか、苦笑を浮かべたエギルに俺はトレード欄を提示、そこに俺たちが今回の三日間の行程で得たアイテムのほとんどを突っ込んだ。

 自分で使える装備品や消費アイテム、その素材なんかは保持したまんまだが、その他もろもろの雑多なアイテムは、こうしてエギルの経営する雑貨屋で一括売却して均等割りにすることにしている。本人曰く「安く仕入れて安く提供するのが、ウチのモットー」とのことだが、交渉すればちゃんと相応の値段で買い取ってくれる。何も言わないとマジで安値で買い叩かれるけどな。

 ゴツい指でウィンドウをスクロールして鑑定を始めたエギルを横目に、俺は手近な椅子に腰かけ――ようとしたが、すでにリーナが座っていたので、止む無くカウンター前にあった丸椅子を引き寄せた。つうかコイツ、まだワッフル食ってやがる。いったい何個買ってきてんだ。

「ふうむ、『シャドウビーの針』十八本、『シーフゴブリンの爪』二十四本……お、『カウベアーの毛皮』じゃねえか。最近冷え込みが厳しいってんで、品薄なんだ。助かるぜ」
「助かるってンなら、相場よりマシマシで買ってくれ、一枚六百コルでどうよ」
「いや、そりゃあ高すぎるな。ここは相場通り一枚四百コルだ」
「ほー……エギル、オメーこの前在庫が足んねえからっつって、俺に『グラポスの実』を取りに行かした借り、忘れてねえか?」
「うっ、ひと月も前のことをよく……」

 解毒ポーションの材料で、取りに行くのにけっこうな労力が要る需要が大きいアイテムを取ってきた件を持ち出すと、エギルは痛いところを突かれたとばかりに渋面を作った。コイツのいかつい顔でやられると中々怖いものがあるが、ここは退けない。

「たかが一ヶ月で忘れっかよ、俺の記憶力舐めんな」
「ムグムグ……他人の顔と名前は三日で忘れるようなアホが何を……」
「そこの食欲魔神は黙ってワッフル食ってろ。んで? いくらで買うんだよ」
「仕方ない、間を取って五百コルだ」
「まあ、そんなモンか。んじゃあ五百コルで成立……」

 俺がそう言って商談を締めようとした時、店のドアが開いてプレイヤーが一人入ってきた。しかも、俺らの馴染みのヤツが。

「おーいエギル、いる
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