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銀河英雄伝説〜其処に有る危機編
第二話 奴は正気じゃない、首輪を付けろ
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ようやく編成が終わって訓練に入っている。祝着至極だ」
溜息が出た。私だけじゃない、シュタインホフ元帥も溜息を吐いている。

「つまり、宇宙艦隊は司令官も司令部要員もあの男の紐付きか……」
「そういう事になるな」
「ローエングラム伯は気付いていないのか?」
「薄々は気付いているようだ。もっとも伯も彼らの力になれなかったという弱みが有るからな、非難は出来ん。誰もその事には触れぬよ。言ってみれば公然の秘密という奴だな」

私の問いに答えるミュッケンベルガー元帥は何処か他人事の様だった。シュタインホフ元帥も何処か気の抜けた様な顔をしている。多分私も似た様なものだろう。
「ローエングラム伯は三月の半ばには出征する。兵力は一個艦隊、自分の力量を周囲に示したいらしい」
つまり勝つ事で艦隊司令官達の心を掴もうとしているのか……。ローエングラム伯か、簒奪など当分無理だな。

「話しを戻そう、反乱軍には天体型の要塞は無い。現時点でこの作戦案が実行される事は無い」
「気休めにはなるな」
投げやりな口調が聞こえた。
「気休めにもならぬよ、シュタインホフ元帥。今後我らは反乱軍が何時要塞を造り始めるかと怯えながら過ごす事になるのだからな。何も知らぬ奴らが羨ましいわ」
二人ともそんな恨めしそうな目で私を見るな。私が考えたのではないぞ。それに卿らに知らせぬわけにもいくまい。

「この件はリヒテンラーデ侯に報告する。卿らも同行して貰いたい」
「……」
「イゼルローン要塞は難攻不落では無くなった。国政の責任者に知らせる必要が有ると思う。それにレポートはフェザーンに付いても触れている」
「フェザーンが反乱軍よりの姿勢を示すという事か」
「その通りだ、司令長官。フェザーンから情報が届かぬとなればイゼルローンはさらに危うい」
二人が“分かった”と言って頷いた。リヒテンラーデ侯も眠れぬ夜を過ごす事になるだろう。早死せねば良いが……。

「フェザーンの駐在武官に反乱軍が要塞を造る様子が無いか調べさせる。出兵の有無についてもだ」
「それが良いだろう、情報部でも調べさせる」
「それは助かる。何か有ったら直ぐ知らせて欲しい」
「了解した。この件は帝国の重大事だ。隠す事無くお知らせする」
シュタインホフ元帥が協力を約束した。流石に彼も事の重大さにいがみ合っている余裕は無いと考えた様だ。もしかするとこの件がきっかけで関係が改善されるかもしれない。結構な事だ。

「当然の事だがこの件を知る者は我らとリヒテンラーデ侯、ヴァレンシュタイン限りとしなければならぬ。他言は無用、宜しいな」
二人が頷いた。
「ヴァレンシュタインには憲兵隊の監視を付ける。情報漏れを防ぐと共に身の安全を確保するためだ。奴を奪われれば
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