第二話 奴は正気じゃない、首輪を付けろ
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原本だ。コピーは無い、複写出来る物ではないのでな」
二人が今度は訝しげな表情をした。そしてレポートを見、私を見た、そしてまたレポートに視線を移す。二人が顔を見合わせたが上位者であるシュタインホフ元帥がレポートを受け取り読み始めた。シュタインホフ元帥の表情が厳しくなった。チラッとまた私を見てレポートに視線を戻した。精々驚け、内容は今後反乱軍が採るであろうイゼルローン要塞攻略作戦案についての予想、だ。
ヴァレンシュタインは士官学校校長の地位に有る。オーディンで閑職と言えばそのくらいしかなかった。それに士官学校校長なら少しは奴も大人しくなるだろうという読みも有った。ポストが見つかったのは良かったがそこでのんびりされても困る。あくまでそれは一時的な退避なのだ。こちらの見積もりでは二、三年で中央に戻すつもりだった。という事で常に繋がりを維持する、その観点からレポートの提出を命じた。まあレポートが何か役に立つ事も有るだろうとは思ったがそれほど重視したわけでは無い。それなのにあの馬鹿、とんでもない事をする。
「うーむ」
シュタインホフ元帥が唸り声を挙げた。気になるのだろう、ミュッケンベルガー元帥がシュタインホフ元帥へ視線を向けた。シュタインホフ元帥は気付かない、夢中でレポートを読んでいる。ページをめくる、二枚目、三枚目、ずっと下まで視線を送ってからホウッと息を吐いた。
「驚いている様だが続きを読んでくれ、そちらが卿らを呼んだ本題だ」
「本題?」
訝しそうな声を出したがシュタインホフ元帥はページをめくって四ページ目を読みだした。読み出すにつれ表情が厳しくなった。
「馬鹿な、何を考えている、気でも狂ったか」
吐き捨てた。気持ちは分かる、正気を疑いたくなる内容だ。私も同じ事を言った。ミュッケンベルガー元帥が驚いている。大丈夫だ、卿にも読んでもらう。
「エーレンベルク元帥」
「統帥本部総長、読み終わったのなら司令長官に渡してくれ。話は司令長官が読み終わってからだ」
話しかけてきたが遮った。忌々しそうな表情をしたがシュタインホフ元帥はレポートをミュッケンベルガー元帥に渡した。
ミュッケンベルガー元帥も同じ反応を示した。三枚目を読み終わって息を吐く。そして私とシュタインホフ元帥を見てから四枚目を読み出した。反応は同じだ、“馬鹿な”、“何を考えている”、“正気とは思えん”、と吐き捨てた。
「読み終わったのならレポートを返して貰おう」
ミュッケンベルガー元帥が不機嫌も露わにレポートを私に差し出した。頼むから二人とも私に不機嫌そうな顔を見せるな、不機嫌なのは私も同じなのだ。
「さて卿らの意見を聞きたい。先ずは最初の作戦案についてだ。如何思われる」
「最初の作戦案と言われるか、反乱軍が帝国軍に偽装してイゼルロ
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