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101番目の舶ィ語
第十五話。妹でも愛さえあれば関係ない……よな?
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が今晩会っていたのが男ではないと、ほぼ確定した。
わざわざダミーを頼むような妹じゃないしな。俺と違って。

「兄さんはアランさんとは別れたんですか?」

ギクゥゥゥ。
風呂場から聞こえてきた理亜の声にドクンと、心臓が飛び跳ねた。
今日だけでも俺の心臓はかなり動きまくったので、きっと寿命は縮んだことだろう。

「そんな、俺とアランが付き合ってるみたいな言い方するなよ」

「ふふっ、違うんですか?」

「違うわー」

まさか、妹同然の女子にそんな風に思われていたとは。
とりあえずアラン、お前は殴る!
理不尽な八つ当たりを考えていると。

「いい人だと思いますけどね、アランさん。見た目も格好いいし」

……む。
何故かは解らんが、理亜がアランを褒めるとイラっとするな。
……やっぱアランは殺そう。
そんな物騒な事を思ってしまうが。
まあ、これもあれだ。可愛い妹を持つ兄の苦労とかいう奴だな。
妹が格好いいとかいう奴に対して嫉妬してしまうのは仕方あるまい。
だからつい言ってしまう。

「あいつはアホでムッツリスケベだからダメだからな」

「え? ……あははっ、んもう、兄さんったら」

朗らかに笑う理亜の声が脱衣場から聞こえた。

「私は、そういうのは興味ありませんから。男性とのそういうのなんてちっとも」

「そ、そうか?」

「そうです。近くに寄られただけで体が避けちゃうくらいですよ?」

「ああ……そうだったな」

理亜の潔癖性は過剰なレベルだからな。
誰かが触ろうとしただけで体が勝手に避けてしまうような。そんな反射神経に影響するくらいのレベルだ。それは男性だけに関わらず、同性であってもそうだしな。

「男性で私の近くにいて不快でないのは兄さんくらいなんです」

……そうだった。俺だけが理亜の頭を撫でてやれるのだ。
それはとても誇らしいのだが。やはり兄という立場からしたら複雑だ。

「あー、いや、しかし、な……」

玄関にいたままで、風呂場にいる妹分と会話しているという状況もおかしいが。
それよりもおかしいのは……俺が本当の意味での兄ではないという状況だ。
いや、まあ。かなめを妹にしてる時点でおかしいのだが。
しかし、かなめはかなめで一応繋がりはある。
前世での異母兄妹という繋がりが。
だが、今の一文字疾風である俺は本当の意味での兄ではない。
体は一文字でも心は遠山なのだから。
だから、そんな俺が理亜の兄という立場でいていいのか不安がある。
もっとも、心の中にはもう一人の俺こと……一文字疾風も存在してはいるのだが。
……やっぱりいずれはきちんと話した方がいいのだろうか。
疾風の中には俺がいるということを。
だが、真実を話して大丈夫だろうか
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