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ウルゼロ魔外伝 超古代戦士の転生者と三国の恋姫たち
三国同盟、その後の事
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珍しいメイド服姿を着込んだ、白銀髪のおっとりとした小柄の少女が彼にお茶の入った湯呑を手渡す。余談だがこの格好、実は一刀の悪ふざけである。一刀はそれを一気に飲み干した。
「ふう〜、生き返る。ありがと、月(ゆえ)」
「いえ、お安い御用です」
月と呼ばれた少女は照れたのか、少し頬を染めてにこやかに笑みを浮かべた。
『月』。それは彼女の『真名』という、その人物の人格と生き様を現した、心を許した人間にだけ言うことを許される名前だ。この世界の人間には真名というものがつけられ、彼女には別の名前がある。
そしてその彼女の名前は『董卓』、もし三国志を知っていれば驚くだろう。なにせ董卓といえば、漢の皇帝『霊帝』の死後、自ら皇帝を立てて悪逆の限りを尽くした暴君+酒池肉林生活を送ったヒゲの太ったおっさんとして知られているのだ。だがここにいる董卓…月は虫も殺せないような儚げで優しく可憐な少女。ギャップが大きすぎるものである。この世界での反董卓連合との戦いの後、名前を捨てて一刀に保護されて以来、こうしてメイドとして働いているのだ。
「あの、ご主人様。お仕事の方は後どのくらいで終わります?」
「午前の分はそろそろ終わるかな」
「なら、お食事の準備をいたしますね。お仕事が終わるまでに作り上げておきます」
「うん、頼むよ。でも無理に急がなくていいさ。完成する前に仕事が終わったら、じっくり待つよ」
「でも、あまり待たせるのも申し訳ないです。じゃあ、そろそろ行きますね」
「ああ、楽しみにしてるよ。月の料理」
月はぺこりと一刀に頭を下げ、お茶を載せていたおぼんを持って部屋を後にした。
「さて、と。昼飯まで気張るか」
当初、一刀にとって政務はとてつもない苦痛でもあった。何せ耳に聞こえてくる言葉は不思議なことに日本語と変わらないが、実際に目で見える文字は中国語と同じ。日本でも漢字は使われていても、発音や形が違うものがあるし、平仮名・カタカナをひとつも使ってはいけないのだ。だが、彼を慕う仲間たちから多くのことを学んでいったこともあって、以前と比べるとはるかにマシになった。今日の仕事のこなしっぷりがその証だ。
政務は、思った以上に早く終わった。
背伸びした一刀は椅子から立ち上がり、終わったことを報告しようと執務室を出て、月の料理を食べに向かう。すると、黒くて長いサイドテールの少女と鉢合わせする。
「ご主人様」
「ん、愛紗か」
愛紗…これも彼女の真名で、名前は関羽。正史での長い髭の代わりに、長く美しい黒髪から『美髪公』と称された、蜀の勇将。正史での関羽と同様、愛紗も義を心に刻み込んだ武人である。
「午前のお仕事はもう終えたのですか?」
「そんなとこ。これから月の料理を食べに行くとこなんだ」
「料理…ですか」
だが、本人は否定するものの、同時に嫉妬深い。証拠に一刀
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