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八神家の養父切嗣
十七話:覚悟と理想
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が落ち着いたところで訳を聞いてみると高町なのはとフェイト・テスタロッサは月村すずかの友人で、その縁で今日はやての元に尋ねてくるというものだった。
 元々すずかの友人というのは知っていたのでその情報自体は驚くことではない。
 問題なのはヴォルケンリッター達とあの二人が出会わないかどうかだ。
 因みに連絡係がシャマルになったのは切嗣では少女相手のメールは荷が重いからである。

「取りあえず、はやては精密検査をしない限りはリンカーコアを持っているとは分からない」
「でも、私達はあの子達と会っていますし……」
「シャマルは姿は見られていないだろう? いや、サーチャーに引っかかっていないとも限らないか……」
「どうしましょう、どうしましょう!」

 再びオロオロと首を振りだすシャマルをあやしながら思考する。
 フェイト・テスタロッサは未だに蒐集できていない。
 見舞いに来たところに騙し討ちをして奪ってしまうという考えもある。
 強力な睡眠薬の準備なども整ってはいる。
 だが、残りページ数を考えればここで奪っても完成する可能性は低い。
 いたずらに相手にこちらの秘密を明かすヒントを与える必要もないだろう。

「大丈夫だ。僕は変身魔法を使っているから顔を見られても問題はない。ただ、リンカーコアから魔導士であることがばれる可能性はあるから出来るだけ局員の二人には会わないようにするよ」

 通常であればそこまで問題ではないのだがこの危険な時期に襲われてもいない魔導士が海鳴市にいるのは不自然である。
 闇の書の主だと睨まれる可能性も決して低いわけではないのだ。

「それじゃあ、お見舞いはお父さんだけが行けることになりそうですね」
「いや、友達が来ていないときは問題はないだろう。はやては気にしなくていいって言うだろうけど、やっぱり寂しいだろうから出来るだけ顔を見せてやってほしい」

 ―――それにそっちの方が僕も監視がしやすいからね。
 
 声に出さずにそう続けて偽りの笑顔をシャマルに向ける。
 時が近づくにつれて体は心とは反対に昔の感覚を取り戻し始めている。
 心と体は切り離されて動き、心がいくら拒絶しようとも標的の息の根が止まるまで引き金を引くのをやめる事は無い。
 
 本来、それは殺し屋が数年がかりで身に着けざるを得なくなる覚悟。
 だというのに、切嗣は生まれながらにしてそれを当然のように持っていた。
 己の意思や感情に関わらず人生を決めてしまう“度を過ぎた”才能。
 彼はその優しさに反して―――人殺し(正義の味方)になるために生まれて来たようなものなのだ。

「そう……ですね。分かりました。はやてちゃんをお願いします」
「任せておいてくれ。何と言っても、僕ははやての父親(・・・・・・)だからね」
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