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ウルゼロ魔外伝 GANTZ/ULTRASEVEN AX
田中星人
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上には、かなりの数の車が停められていた。
その間を先ほどの男の子が泣き叫びながら走っていく。
「おばあちゃん!!おばあちゃああん!!」
その声をたよりに祖母を探した。
「亮ちゃーん!」
遠くからカヨの声は聞こえるものの、姿は一向に見当たらない。男の子、亮太を探しながらカヨも車の間を走っていた。
「亮ちゃん!」
亮太は通路の向こうに懐かしいカヨの姿を見つけ、泣きながら一目散に走り出した。不意に亮太は車の間から出てきた何かにぶつかっていた。そのすぐそばでガシャン!という音と共に、今まで聞こえた音楽が急に止まり、聞こえなくなった。落ちていたのは、ひび割れたラジカセだった。落ちた衝撃で壊れ、テープの再生が止まったらしい。亮太はぶつかっ
た相手を完全に無視し、祖母の胸の中に飛び込んでいった。
「亮太ちゃん、大丈夫だからね。おばあちゃんいるから」
抱き締めながらカヨは亮太を励ますように言った。
だが、その二人に魔の手が忍び寄っていた。
照明のせいで顔や格好は見えなかったが、その人影が何か音を発していることに気がついた。
「イイイイイイイイイーーーーー!!!!!!」
その人影は大口を開けてこちらを見下ろしていた。その口は光を発し、同時に甲高い金属音が耳を塞ぎたくなるほど大きくなっていった。
その光に照らされた二人の映像はそこで途切れてしまった。



スーツを着用したジンが、その駐車場に転送されたのはその直後だった。抱き合うようにして転がっている二つの影が血溜まりの中で横たわっている。
「く…」
悔しそうに顔を滲ませるジンは二人を直視できなかった。
「敵は一体どこに…」
田中星人の行方を追うためにジンは、西も以前にネギ星人を発見するときに使っていた「コントローラー」を取り出した。赤い点が一つ出ている。位置は駐車場近くの水路の橋の辺りだ。ジンはすぐ駐車場を出て橋の辺りに向かった。
「あれ、玄野さん?」
ジンは目を丸くしていた。玄野が人影の前でなにやら返答に困ったような顔をしている。いや、困っていたのだ。なぜかというと…
「裕三くん?」
「…………は?」
「裕三くん?」
「あ…いや…」
「裕三くん?」
玄野の前にいたのは田中星人だった。壊れたラジカセと、鶏の卵のような物体が一杯つまっている買い物袋を持っている。
三度目で田中星人の目が細くなっていた。どこか苛立っているように見える。
「裕三じゃ…ないです」
小さい声でそう返答された田中星人は、さっきまでの「ちわやか」な表情とは全く別の顔になっていた。
(う…怒ってる…)
どうも田中星人は玄野のノリの悪さに腹を立てたようだ。
「玄野さん!」
ジンの声に反応した玄野は彼の後ろに隠れた。
「怪我は?」
「あ、ああ…大丈夫だ」
「計ちゃん!」
そこに加
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