暁 〜小説投稿サイト〜
恋姫†袁紹♂伝
第29話
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
であるな!!」

「冗談……なのね」

「!?」

 両手を胸の前で合わせ俯く華琳。『乙女心を傷つけた名族の図』完成である。
 ここまでくると冷や汗を通り越し、脂汗が流れ始める。先程とは違い、今は前方からも怒気が溢れている。
 前方――春蘭、秋蘭を始めとした華琳の家臣達だ。

「お、おい華琳……早く誤解を解かねば我が身が――!?」

 ついに自分の手に負えなくなったこの状況を打開するため、それが出来るであろう華琳に袁紹は話しかけ――気が付いた。

 彼女の肩が小刻みに震えている。笑いを堪えているのだ!

 そして、傍から見れば主が涙を流しているようなその構図に、彼女を最も敬愛していると自負していた春蘭が――弾けた。








「何はともあれ久しぶりだな華琳。元気そうでなによりだ」

「ええ貴方も……とは言えないわね」

 ボロッという擬音が聞こえてきそうな袁紹の姿を見て、華琳は楽しそうに笑う。

 先程は大変だった。臨界点を突破した春蘭が掴みかかることに始まり、それを止めようと、彼女と掴み合いを始める猪々子。二人をみかねて参戦した斗詩と秋蘭。
 その騒ぎの渦中にいた袁紹は、豪華な服や自慢の髪に埃をつけ。見た目のギャップもあり、間抜けな格好になっていた。

「フム、何のことかな?」

「……え?」

 そんな袁紹の『らしくない』姿を笑っていた華琳は。次の瞬間、目を見開いた。

 何と袁紹の姿が元通りになっていたのだ。先程まで埃を被っていた迷族の姿は無く、そこにいるのは紛れも無い袁家の現当主。威風堂々とした名族であった。

「貴方、いつのまに妖術を使えるようになったの?」

「フハハハハ! 名族の威光があれば、埃のほうから離れるのだ!!」

 ――答えになってない。そう華琳は胸中でツッコミを入れる。

「おそろしく速い動作、アタイでなきゃ見逃しちゃうね」

 大刀を背負っている娘がしたり顔で呟いているが。袁紹軍の面々は、覇王の娘が首を傾げている答えを知っていた。

 その答えの前に一旦話しは逸れるが、袁紹の能力が高いことはもはや語るまでも無い。
 その袁紹がさらに能力を飛躍的に上げる事象があった。彼の『こだわり』である。
 顕著な例を挙げるとするならば、彼の理想。『満たされる世』実現の為にこれまで行ってきた政策の数々や、黄巾の乱における、人命を優先した大計略などである。
 その他にも人材勧誘、南皮の拡張、魚醤とそれにまつわる商売など、彼が『こだわり』を持って行うことは、ことごとく成功させてきた。

 上記だけを見れば万能な能力だが、実は無駄に発揮される事のほうが多かった。
 その代表的な例は『御輿』だろう。なんの変哲も無い御輿とその担ぎ手達も
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ