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竜のもうひとつの瞳
第二十九話
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らの方が恐ろしくもなる。
無謀に見えるけれど、後々の待遇を考えれば賭ける価値はあるかもしれない。

 「その根回しに奔走してるってわけですね。なら、安藤さんにそう言えば良いのでは?」

 「義父上は何も知らないということで一役買って貰っているのさ。
婿殿の身を案じて訪ねに来ている、そう思わせておいた方が尚のこと油断するだろう?
そうでなければ、何の為に何も言い返せないぼんくらだと思わせてきたのか分からないからね」

 敵を欺くにはまず味方から、ですか。いやいや、恐ろしい方ですね。
義理のお父さんまで駒に使ってるってのはなかなかねぇ……うちの小十郎じゃここまで非道にはなれませんよ。
まぁ、まだ祝言挙げてないからいないけど、身内に優しいのが伊達の家風だからねぇ。
勿論裏切ったりしたら鬼に変わるけどもさぁ。

 豊臣は厄介な敵になりそうだ。落ち着いたら一筆手紙でも書いて送ろうかしら。竹中半兵衛には気をつけろ、って。
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