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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
思い出-メモリーズ-part2/妖精の歌
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アルビオン王は、弟であるモード大公に対して譲歩したところがあった。それは先ほどの場面にて王軍を派遣したものの、屋敷を家宅捜索しなかったことだ。捜索をしていれば、確実にテファと彼女の母は見つかり、必然的に殺されるか追い出されるかのどちらかとなる。いつまで経っても弟がどちらも行わなかったことにより、王はついに弟と彼が匿う妾のエルフとその間に生まれた娘であるテファを捕まえる、難しい場合は殺害することを決断した。
その日は夜だった。突如、数千もの王軍がモード大公の屋敷を取り囲んだ。
この時、モード大公は別件で屋敷を留守にしていたが、愛する家族を見殺しにできず屋敷に戻ってきた。
「『シャジャル』!ティファニア!!」
エントランスにきた途端、彼は愛する妾と娘を呼び出した。二人が来たところでモード大公はあわただしく帰ってきた理由を明かす。
「いいか二人とも、すぐにこの屋敷を出ろ!兄上の軍がもうすぐここへ来る!これからサウスゴータに向けてとにかく逃げるのだ!」
「あなたは…!?」
ティファニアの母…シャジャルはモード大公自身はどうするのかを問うと、彼は二人に背を向けて静かに言った。
「…私はここまでだ。ハルケギニア大陸の国家は、国そのものがブリミル教徒だ。その教徒たちの敵勢力であるエルフを、王弟である私が匿った。その責任をとらなければ、この国はいずれ他国から敵視されてしまう」
「そんな…!ダメよ!私が王軍に出頭するわ!そうすればあなたは…」
「それこそダメだ!そなたを差し出したところで、そなたは兄上に殺されてしまう。
かつて、私は妻を失った。愛する者が殺されるくらいなら…」
シャジャルが、大公ではなく自分が首を差し出すべきと言った。そもそも、自分がこの国に来て彼を巻き込んでしまったのだ。エルフである自分を匿い、愛し、そして娘が生まれた。すべての元凶である自分が出頭するべきだと言ったが、モード大公は聞かなかった。
「案ずるな、シャジャル…私はこの時が来ることは、そなたを匿った時から覚悟していた。…サウスゴータよ!」
「ここに!」
モード大公からの呼び出しに応え、マチルダの父サウスゴータが部隊を引き連れ現れた。
「シャジャルとティファニアを、頼む。お前たちまで巻き込んでしまって済まなかった」
「いえ、私はモード様に恩ある身。あなた様の命令ならば何でもなしましょう。それに、あなた様のご家族をどうして見捨てられましょうか!」
「シャジャルとティファニア…そしてお前のような忠臣を持てて、私は幸せだ」
大公は、後にウェールズが身につけることになる指輪…『風のルビー』ともう一つ、白く豪華な作りのオルゴールをサウスゴータに、そして自分が持っていたペンシルのように細い杖をティファニアに手渡した。当時、風のルビーはモード大公が所持していたものだった。

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