暁 〜小説投稿サイト〜
雲は遠くて
(改訂版) 93章 信也と美結と利奈たち、太宰治とかを語る
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
て、信也にそう言った。

「ただね、わたしは、しんちゃんの夢の、宇宙人との戦闘状態のようなのが、
ちょっと気になるんだけど。苦労が始まる兆しとか、何かのトラブルに巻き込まるとかね!」

 心配そうな表情で、そう言うのは、利奈のとなりに座った美結である。

「あ、そのバトルなら、おれたちのほうが断然に勝っていたんだよ。
おれなんか、余裕で、女の子の仲間と、いちゃついていたくらいだから。
それが、知っている女の子のような、ぜんぜん知らない子のような、
でも可愛(かわい)い子たちで。美結ちゃん、、利奈ちゃん。あっははは」

「まあ!しんちゃんたら!でも、楽しい夢でよかったわね!わたしも楽しい夢なら、見るの大好きよ!」

 そう言いながら、テーブルの向かいの信也に、美結はなぜか()ずかしそうに笑う。

「やっぱり、兄妹(きょうだい)ね!わたしも、夢見るの大好き!楽しいんだもん!
そうそう、しんちゃんが見たいって言っていたビデオを()っておいたよ」

 利奈は、信也にそう言いながら、カフェオレ(ミルク入りコーヒー)を飲む。 

「あ、そう。ありがとう。あの番組って、最終回で、
又吉直樹(またよしなおき)さんがゲストに出てるっていってたからね」

 その番組とは、NHK・Eテレの
『100分で名著・太宰治(だざいおさむ)斜陽(しゃよう)』のことであった。

「うん。又吉さんが出ていたわよ。太宰治って、わたし、あまり興味ないというか、
よくわからないんだけど、『女生徒』は読んだんだ。よくこんなに女の子の気持ちがわかるな!
って感心しちゃった。ぁっはは。
『人間失格』という本は、友だちに(すす)められたんけど、内容が暗すぎて、
ついてゆけなくって、途中で読むの()めちゃったの!」

「あっはは、利奈ちゃん。『人間失格』という小説は、利奈にも、(むずか)しいと思うよ。
又吉さんは、太宰治押()しで、『人間失格』は100回くらい読んだっていうけどね。
又吉さんは、ユーチューブの動画で、『人間失格』は、
<人間がそれぞれに持っている痛みについて書かれているんではないかと、 
何回も読んでいると、そういう別のテーマが浮かび上がってくるというか、わかってくる>
って言っていたけど、まあ、そのとおりなんだろうね。
太宰治って、確か、1909年生まれの、38歳の生涯(しょうがい)で、
その青春は、太平洋戦争とかで、ひどい社会情勢の中にあったからね。
人間が人間らしい(あつか)いをされていなかったんだから。
女性の地位なんて、想像できないくらい低かったしね。
だから、心の優しい、感受性豊かな人たちとかって、とても生きづらいし、苦しかったと思うよ。
心中(しんじゅう)とか自殺とかは、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ